「ここに人がいるよ!」
救助犬たちは、瓦礫の下などで助けを待つ生存者を探し出す訓練に加え、行方不明の方を見つけ出す訓練も受けている。
「今までも犬たちが、ここにいるよ!と教えてくれた場所では、ほぼ確実に救出に至っています。例え残念な形であっても……家族のもとに帰ってきてほしいというのが、ご不明者のご家族の心情であると考えます。私達『救助犬静岡』は、そのお手伝いを少しでも担えればと思い、活動をしています」(認定NPO法人災害救助犬静岡さん)
自衛隊や警察庁に所属する「警備犬」以外の捜索救助犬たちの多くは、訓練士や民間人であるハンドラーさん自身の愛犬だ。ハンドラーの方々は、大切な相棒であり家族の一員である犬たちの安全を第一に考えながら、過酷な状況のなか、助けを求めている人たちを探す。
「大型犬を飼い始めた時、周囲の人間や動物に危害を加えないように、自分の犬は自分でしつけたいと思い、しつけ教室で学び始めました。その際に案内されたのが、災害救助犬として訓練してみませんか、というお話でした。
今回もそうですが、今まで出動させていただいた被災地は、どこも甚大な被害が出ていました。初めて現場に到着した時は、すごいところに来てしまった…というのが正直な感想でした。しかし、日常訓練を積み重ねた犬たちは、ハンドラーの探せというコマンドで、最大限に鼻を使って人の匂いを探し求めてくれます。犬たちの姿にいつの間にか不安も吹き飛び、人も犬も無心で捜索に集中できます」(認定NPO法人災害救助犬静岡さん)
災害大国、日本。でも多くの「災害救助犬」はボランティア
「令和6年能登半島地震」の捜索救助にあたり、「救助犬が足りない」という声もあがっていたという。だが、今回現地に派遣された救助犬団体のほとんどが、寄付や支援で活動を行うボランティアだ。
災害派遣出動時のガソリン代や高速道路代、捜索のための装備や日常の捜索救助訓練にかかる費用など、活動のための資金は決して小さくない。自然災害の多い国として、災害発生時に欠かせない救助犬たちの活動をサポートする体制を、大きく見直すタイミングに来ているのかもしれない。
※令和6年能登半島地震でお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。一日も早い復旧復興と、被災された皆さまに平穏な日々が戻りますことをお祈り申し上げます。