「ご厚意をお返ししたい…」京都の神社がいち早く募金箱を設置した理由とは【能登半島地震】

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 桜の名所として知られる京都市北区の平野神社はこのほど、能登半島地震を受けて被災地支援のための募金箱を設置しました。神職は「これまでのお返しの意味もある」と話します。どういうことか詳しく聞きました。

 平野神社は、794年の平安京遷都時から現在地にあるとされる長い歴史を有します。古くから朝廷や貴族たちの崇敬を集めた神社であり、現代でも60種約400本の早咲きから遅咲きまでの桜がある名所として知られます。

 また境内には江戸時代初期に建てられた「平野造り」と呼ばれる独特の建築の本殿(重要文化財)のほか、徳川秀忠の娘・東福門院が建てた拝殿など歴史的建造物があることでも有名です。

 能登半島地震が発生した翌日の1月2日、平野神社は神門の前に「能登半島地震被災地支援」と書かれた募金箱を設置しました。これほど迅速な支援には背景がありました。

 平野神社はこれまでにも東日本大震災発生時には岩手県大槌町を支援するなどしてきました。しかし5年ほど前、大きな災害が平野神社を襲っていました。

 2018年9月、台風21号が近畿地方を直撃。京都府指定文化財で1650年建築の拝殿は、柱が折れ倒壊してしまいました。被災直後、尾崎保博宮司は京都新聞の取材に「再建に3年はかかる。どうしたらいいのか」と答えていました。

 その後、惨状を知った大槌町の人たちをはじめ、全国から拝殿再建へと寄付が寄せられました。2021年、拝殿は一部の部材を再利用し無事に再建されました。

 平野神社の中村聡朗権禰宜(ごんねぎ)は言います。「今回の地震もそうですが災害というものは、いきなり襲ってくることを痛感します。拝殿再建へ頂いた厚意を少しでもお返しすべく協力させていただこうと募金箱を設置しました。ぜひ善意を寄せていただければ」と呼びかけています。

 募金箱は毎日午前9時から午後5時まで設置されています。また2月1日以降、毎月1日午前11時には境内で復興支援コンサートを実施する予定です。

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