長く暮らしてきた一戸建て住宅も、子どもたちが家を出てしまうと、部屋があまってしまい「広すぎる」と感じるケースが多いようです。リノベーションによって、そういった悩みを解決しようとしたものの、自分が理想としていたものと違うものが完成してしまうこともあります。
広い実家
Oさん(20代女性、関東在住)は、就職を機に一人暮らしを始めました。その際今まで、住んでいた実家を離れることになりました。実家は一戸建てで、両親が夫婦二人で住み続けています。
就職してしばらくたつと、両親から「使わない部屋をどうにかしたいから、家をリノベーションしようと思う」と言われました。知り合いの工務店に、700万円ほどかけて頼んだそうです。
しかし、リノベーションされたという実家は、いざ帰省してみると、確かにきれいにはなっているのですが「本当にリノベしたの?」「どこを直したの?」と思うくらい、正直なところ変わり映えしていないイメージでした。リビングの間取りなどは変更せず、2階の子ども部屋を両親の寝室と統合したくらい。リノベというよりも、どちらかというとリフォームに近い印象を受けました。
住宅の知識を持ってから思うこと
しかしOさんも社会人経験が長くなり、自分で住まいのことを考える機会も増えてきました。それもあってか、帰省して改装された両親の実家の様子を見るたび、「こうしたほうがよかったのに」「自分だったらこんな風にした」と思うことも増えてきました。
一つ目はキッチンです。夫婦2人の住まいなので、キッチンはもう少しコンパクトにして、その分収納スペースを増やすべきだったのではないかと感じています。キッチン設備にも大型の食洗機が入っていますが、夫婦だけの生活にあわせたスペックが選ばれるべきだったのではと感じています。
二つ目は、LDK脇の和室の存在です。昔から和室はお客さんがきた時くらいしか利用する場面がありませんでした。ふたつの部屋を統合して、より明るく広々とした空間にしたかったと思っています。畳のスペースを残したほうがよければ、リビングの一角に小上がりの和室コーナーを作る程度でも良かったでしょう。
ほかにも、「母は読書や観葉植物が好きなので、趣味スペースを作ってもよかった」「細かい穴のあいた有孔ボードなどを玄関につけるだけでも、収納力を上げることができたかも」などなど…。「当時、もっと真剣にリノベの相談にのってあげておくべきだった」と、Oさんの後悔とアイデアは尽きません。