同居について姑の訴えが深い…「子育てで忙しいのに、なぜ嫁が義父母のごはんを?」「親孝行だと勘違いしないで」

宮前 晶子 宮前 晶子

「正直分からないんです。何故、同居親の食事を作る必要があるのか…。私は娘しかいません、娘達は今、子育てで大変です。その娘達に自分の食事の世話をしてもらうなど考えられません…。同居を強いて自分達の食事の世話を平気でさせる方の言い分を聞かせていただきたい。それ程理解できません」

SNSをのぞくと、「義実家ムリ」「義母嫌い」「姑とのコミュニケーションでダンナと喧嘩」など義理の両親や家族との関係に悩み、ストレスを溜めている人の多いこと、多いこと!

姑世代にあたる梅《姑だけど同居反対》さん(@Lapule1122 以下梅さん)は、子ども夫婦との同居に異を唱え、SNSで発信しています。嫁として長年同居した経験から、同居反対への理由を教えてもらいました。

経験者が語る「なぜ、同居はNOなのか」

「同居を経験し『自分が我慢すれば』をしていると『バカにされる』事を学びました」など、同居への思いを発信している梅さん。梅さん自身、長い間、義父母と数十年同居をしました。

「なぜ、夫の両親と一緒に住まなければいけなかったのか?腑に落ちていません。同居という形は『自分の人生を丸ごと取り込まれる 支配される』という違和感だけでした」。同居年数が、実の両親と暮らした年数を越したとき、とてつもない空虚感に襲われたそう。

もともと、X(旧twitter)は見るだけでしたが、「同居のお嫁さん・お婿さんの立場の方々のお話を目にしているうちに、今の時代でもこれほどまでに 同居で悩んでいる人がいるのだと知って…。『同居はそれぞれの夫婦仲のためにならない』ことにどうか気づいて欲しいと投稿するようになりました」。

同居による弊害を尋ねると、以下の3点を挙げてくれました。

■子ども夫婦の仲が良くならない

「同居をすることで、実父母と暮らしている夫(妻)は“子どものまま”になります。同居の親夫婦は、子どもが結婚してもいつまでも“子ども扱い”します。それゆえ、その配偶者も“義父母の子ども”にならざるを得ないような、おかしな関係性になります。新しい家族を作ったつもりが、夫(妻)の実家やその親に取り込まれてしまうとでもいった感じですね。それでは、子ども夫婦の“新しい家族”が育ちません」

■子ども夫婦の子育てに口を出す

「孫育てを当たり前だと思っている舅姑さんというのは存在しているんですよね。孫の実の親である子ども夫婦を頼りなく感じて、子ども夫婦を信じて見守ることができないんですね。気になるし、なんでも口を挟んでしまう、その結果、【船頭多くして船山に上る】になってしまう。親以外が口を出して、もめごとを起こすこともあります」

■楽をし過ぎて、健康的ではない

「3食の食事を出してもらい、どこへも行かず子ども夫婦の動向ばかり気にしている方が多いです。同居をしていない親夫婦の方のほうが、夫婦2人で朝食を食べに外出したり、散歩したり…お互い助け合う気持ちが高まっているように思います。 ただ、子ども夫婦が共働きで子育てのほとんどを親夫婦に任せっきりにしている方も。子ども夫婦が自立していないケースもあるのではないかなと思います」

同居を避けたほうがいい両親とは?

現時点では、同居をしていなくとも、この年末年始に義実家で同居話を持ちかけられることもあるかもしれません。梅さんは、同居を避けた方がいい義父母の言動を説明してくれました。

■「娘のように思っているから遠慮しないで」は要注意

「同居はしても子ども夫婦と生活を別にしようと考えていないから、こんなことを言います。干渉する気満々ですね。『娘のように思う…』のくだりは言ってしまうお姑さんはたくさんいるようです。あの言葉はお嫁さんのために言っているのではないような気がします。気を遣う相手じゃない、自分より格下と思っているから、こんな言葉を平気で口にするんです。『私に、なんでも言って』とおっしゃいますが、なかなか言えないですよね」

■上下関係のある義父母夫婦

「夫婦は対等で助け合うというお気持ちがないのは要注意です。そこに子ども夫婦が入れば 、子ども夫婦にも上下関係が生まれてしまう可能性は高くなります」

■世間体をなによりも大事にする

「他人の評価を気になさる義両親は、言わずもがなです。自分たちが周囲からどう見えるか、どう思われるかだけを考えています。子ども夫婦、ましてお嫁さん・お婿さんのことなんて何も考えていません」

数十年の同居を経て、「同居前に、誕生した娘との日々は鮮明に覚えているのに、同居後に生まれた娘の思い出には必ず舅姑さんや義理の親族達も加わっています。両親である私たちとの関係が希薄ではないか?と感じたりしました」と、義父母らが参入することで、自分たち家族だけの関係性を築き上げることができなかったのではないかと振り返ります。

また同居中には、義父母から用事の度に『呼ばれる』ことがストレスになり、耳が聞こえなくなり、声が出なくなった経験も。そんな状況にもかかわらず、同居生活を避けられないなら、『配偶者に少しでも同居の大変さを理解してもらう』ことが大事だと言います。

「同居は嫌だ…とは言わず、『夫婦の時間を大切にしたい』『義両親を交えない2人の時間を作りたい』…、そういう時間があれば『優しい気持ちになれる』『もう少し同居も上手くやれるかもしれない』と伝えて欲しい」。さらに、具体的な行動として『食事を別にすること』『夫婦だけで出掛けること』を提案。そうすれば「同居も生き抜く事が可能かもしれない」と言います。ただ、梅さんの”生き抜く”という言葉からも、それらが叶えられたとしても、まだ耐えている状態であることが伺えます。

同居=親孝行ではない

アンケート(注1)によると「義両親との同居はナシ」と答えた20〜30代は8割近く、「義両親、自分の親でも同居はなし」と答えたのは約5割です。また「義両親はナシだが自分の親はアリ」と答えたのは約3割と考えると、若い世代は大変消極的です。

その理由として「お互いに気を遣うから」「良好な関係を同居によって壊したくない」「義両親とはある程度の距離感が欲しい」という意見が中心ですが、「女性が家事をするという考えの人がまだまだ多く、同居すると自分の負担が大きくなるのが目に見えている(30代/女性)」「食事の好みが違うと思うので、私が作るのが一苦労しそうです(40代/女性)」と女性側が、家事の面からも負担に感じているようです。

それほどに、同居は嫌だと考える人が多い、あるいは、同居前から同居はつらいと認識している人が多いのに、同居という形態がなくならないのはなぜでしょう? 梅さんは、『同居は親孝行』という言葉が呪いの言葉になっていることを指摘します。

「これを信じて疑わない方が多いんですよね。同居をしない子ども夫婦は“親を捨てる親不孝者”と思ってしまう親がいるんです。それから、子ども夫婦と同居をすると聞いて、『良かったわね。良い息子(娘)さんね、安心ね』と言ってしまう周りの人。そのような会話から、“同居は良いこと”という意識から離れられない人が多いとわかるでしょう。『親孝行』の言葉を同居に結びつけるので、なかなか同居がなくならないのだと思います」。

また、同居は難しいものだと聞いてはいても、親を思う配偶者の気持ちを考えて、やさしさからつい「何とかなる。大丈夫」と受け入れてしまう子ども(妻あるいは夫)もたくさんいます。「一緒に住まなくたって親不孝ではないし、親孝行はできます!」と梅さん。

「親夫婦が子どもに依存しないことも大事。『同居問題』は、親夫婦の『夫婦の関係』が大きな鍵だと思うんです。歳を重ねて夫婦2人でいることが楽しいと思える人は、子ども夫婦と同居したいとは思いませんよ」。どの世代であれ、夫婦間で助け合うこと、家族の方向性は夫婦間で決めることが大事だと考える梅さんは、現在夫とふたり暮し。ハイキングに行ったり、買いものをしたり、夫婦の生活を満喫しています。

「気楽で楽しい毎日を過ごしています。夫婦ふたりでそれが出来ないから、『親孝行』『家族』と言い、子ども夫婦に同居を強いて、自分達の楽しみを提供してもらおうとしてるんじゃないでしょうか。子どもが結婚したら『子育て卒業!これからは、夫婦ふたりで楽しもう』と考える方が増えて、それが幸せなんだと思う世の中になったら『同居』は減るんじゃないでしょうか」と期待を寄せます。

結婚した娘さん夫婦との付き合いで心がけているのは、『お互いに大人』であるとちゃんと認識すること。「いつまでも親気分で あぁしなさい、こうしなさい、と口出しをしたりするのはもっての外です。たとえ少し心配だなということがあっても、子ども夫婦を信じて見守らなくちゃ。子どもが結婚したら、『子育て親』から『見守る親』になるのが理想じゃないでしょうか」と言います。

「結局、親夫婦の自立も子ども夫婦の自立も整っている方は『同居』を選択しないと思います。親も子も自立してお互いに幸せになりましょう、と言いたいです」。同居反対の視点からの冷静かつ的確な言葉の数々を、少しでも不幸な状況を減らすべく梅さんはXで投稿し続けます。

これから同居を誘おうと思っている親側、配偶者にお願いしようと思っている夫婦はもう一度ご検討を。また、自身の親と同居をお願いしている側であれば状況をしっかりと見極め、自分の親を優先するのではなく、配偶者と子…ご自身のご家族をちゃんと大事にできているかどうか振り返ってみてはいかがでしょうか。

(注1)■調査名:義両親との同居に関するアンケート、調査対象:20〜30代の男女、調査方法:選択式・記述式のWEBアンケート(クラウドワークス)、有効回答人数:200名(回答率100%)、調査期間:2022年02月22日〜2022年02月28日(株式会社クランピーリアルエステートによる調査)

■梅《姑だけど同居反対》さんX(旧twitter)  @Lapule1122
■【義両親との同居はアリ?ナシ?】義両親の介護や同居トラブルの対応について男女200人に聞いたアンケート調査結果を大公開! https://mochibun-kyokasho.com/step-parents-cohabitation-questionnaire/

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