公道最強…!世界の最高峰ドライバーが熱い戦いを繰り広げた2023WRC最終戦ラリージャパンの模様を現地レポート

小嶋 あきら 小嶋 あきら

 WRC、ワールド・ラリー・チャンピオンシップ。一般公道を封鎖してスピードを競う、世界最高峰のレースです。2022年に引き続き今年も愛知県と岐阜県を舞台に開催されました。現地の様子を報告します。

ラリージャパンとは?

 2023年のWRCは全13戦。モンテカルロを皮切りに、ヨーロッパやアフリカなど世界各地を転戦しました。最終戦がラリージャパン。11月16日から19日にかけて、愛知県の豊田スタジアムを中心に開催されたのです。

 日本でのWRCは過去、2004年から2008年、2010年に北海道で開催されましたが、その後間が空いて、2022年、12年ぶりに愛知、岐阜に戻ってきました。

 ラリーという競技は、一般道を閉鎖して設定されたおよそ20前後のSS(スペシャルステージ)と、それらを繋いで移動するリエゾン区間とで構成されています。一般の車も人間も入ってこないSSでは目一杯のスピードでタイムを競いますが、リエゾンの部分は普通の公道を一般のクルマに混じって走るので、道路交通法を守って安全運転です。もしも違反をして警察に捕まった場合などには反則金などはもちろん、競技の上でもペナルティが科せられます。

 また、競技区間の路面は「スノー(雪道)」「グラベル(未舗装路)」「ターマック(舗装路)」の3つに分けられます。この「舗装路」というのはアスファルトに限らず、コンクリートや石畳もターマックに含まれます。ラリージャパンを例に取ると、北海道で開催されていた頃はグラベルのラリーでしたが、いま愛知を中心に開催されているラリージャパンはターマックです。

2023ラリージャパンについて

 現在、WRCのトップカテゴリーRC1を戦っているのはトヨタ、ヒョンデ、フォードの3メーカーです。2022年のラリージャパンは、地元愛知のドライバー、トヨタの勝田貴元が見事に3位入賞を果たしたものの、1位と2位をヒョンデに取られてしまいました。今年はなんとかトヨタには地元開催の意地を見せてほしいところです。

 今年の豊田スタジアムには昨年なかったスーパーSSが設定されました。スタジアムのグラウンドにアスファルトを敷いて、一周1km余りのコースを作ったんですね。ここを2周、およそ2.1kmの距離でタイムを競うのです。しかもこのコース、ラリーでは珍しく2台同時スタートです。もちろんラリーの競技はタイムで競うので、一緒に走ったクルマに勝つか負けるかがそのまま順位になるわけではないのですが、やっぱり2台同時に走ると盛り上がりますね。

 コースを仕切っているのは大きなコンクリートのブロックです。激突するとクルマは大破、即リタイヤに繋がる。そんなコースをドリフとしながらものすごいスピードで走り抜けるRC1のドライバーのテクニックはまさに世界最高峰。目の前で繰り広げられているのに、CGを見ているようです。

 豊田スタジアムのスーパーSSは3日間毎日、最終のSSとして競われました。それまで暖かかった今秋でしたが、この週は急に冷え込み、特にDay3の18日はスーパーSS開始の19時35分には気温は5℃台。屋根はあるものの屋外のスタジアムは底冷えがきつかったです。しかしレースが始まると会場は熱気に包まれ、ひととき寒さを忘れました。

トヨタ圧勝、ワン、ツー、スリーフィニッシュ

 今年のラリージャパン。初日Day1のスーパーSS(SS1)はヒョンデが1、2、4位、フォードのタナックが3位。トヨタは勝田が5位に入ったものの、先行きが不安な展開でした。しかしDay2が終わる頃にはトヨタのエバンス、オジエ、ロバンペラが1-3位を独占。勝田はSS2大雨の中でのクラッシュで一時はリタイヤかと思われたものの奇跡の復活、その後のSSでトップタイムを連発しながら追い上げを見せていました。続くDay3、安定の走りでトップスリーは順位をキープ。相変わらず猛追を見せる勝田はついに5位まで浮上、この日最後のスーパーSS(SS16)でもトヨタ組最高の4位タイムを記録しました。そして最終Day4。この日は岐阜県内のステージで一部雪景色も見られる中、レースが行われました。

最終結果、トップ5位の順位は入れ替わらず、優勝はトヨタのエバンス。2位はトヨタのベテラン、オジエ。3位もトヨタ、2022年2023年連続チャンピオンのロバンペラ。4位にヒョンデのラッピ。そして5位にはトヨタの勝田。6位にはフォードのタナックが入りました。

 ラリージャパン2023、トヨタは地元で1、2、3フィニッシュ、しかも出場した4台全てが上位入賞で完走するという、まさに「圧勝」でした。

  スタジアム、SS、沿道の応援などを含めて今年の観客動員数は53万6900人(速報値)。中部地区で2年目のラリージャパンは地元の盛り上がりはもちろん、テレビ放送も増えるなど全国的に浸透してきたように感じます。またラリージャパン2024は2024年11月21日から24日の開催が予定されています。公道最強、世界の最高峰を目の当たりにできる貴重なチャンス、ぜひ一度現地で体験してみてください。

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