現在放送中の『ブギウギ』(NHK総合)第9週「カカシみたいなワテ」では、戦況によりますます窮屈を強いられるエンターテインメント業界とスズ子(趣里)の苦悩、ツヤ(水川あさみ)を亡くして廃人のようになってしまった梅吉(柳葉敏郎)の悲しみ、そして時代の閉塞感が重奏的に描かれている。
今週の重たく停滞する空気のなか、スズ子の歌に惚れ込んで故郷の福島から上京し、スズ子に弟子入りを志願した小夜(富田望生)の存在が、一種のカンフル剤となっている。42話にて「おれを、弟子にしてくんちぇ!」というインパクトのある台詞で登場した小夜。このキャラクターにはモデルがいるのだろうか。制作統括の福岡利武さんに聞いた。
笠置シヅ子さんの「人情」から生まれた、オリジナルキャラクター
「具体的なモデルはおらず、小夜は本作のオリジナルキャラクターです。スズ子のモデルである笠置シヅ子さんのことを調べたり取材したなかで、弟子を取ったというエピソードは見つからなかったものの、笠置さんはとにかく面倒見が良いということがわかりました。当時、いろんな若い人が笠置さんのところに相談しにきて、そのたびに笠置さんは親身になって『せやったら、おいで』と、自分のもとに呼び寄せたといいます。そういう笠置さんの『放っておけない人情』みたいな要素を、随所で取り入れたいなと思っていました。小夜は、そうした笠置さんの逸話をヒントに生まれたキャラクターです」
「戦争という厳しい時代を、スズ子と小夜が共に生きていきます」
42話で行くあてのない小夜を一度は下宿に住まわせると言ったスズ子だったが、43話では、言いつけを守らず梅吉に酒を飲ませてしまった小夜に「出てって」と言い渡す。本日11月30日放送の44話で小夜の登場はなかったが、もちろん今後も小夜は登場するという。福岡さんいわく、
「43話では追い出してしまいましたが、この先、戦争という厳しい時代を小夜が懸命にスズ子に寄り添って支えて、共に生きていきます」
とのこと。舞台人としてのメンターである大和礼子(蒼井優)、最愛の母・ツヤ(水川あさみ)を失ったスズ子にとって、新たなキーパーソンとなりそうな小夜の活躍に期待がふくらむ。ツヤがスズ子に授けた「義理と人情」の精神はきっと、小夜をはじめ、スズ子が支え、支えられる人々の輪を作っていくことだろう。
◇ ◇
『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽BSプレミアム・BS4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)