主題歌の「笑ったり転んだり」を歌う夫婦デュオ・ハンバートハンバートは「(島根県の)松江はなじみ深い場所」と語る。2006年以降、毎年のように「ばけばけの地・松江」でライブを重ねた。1月18日にも島根県民会館大ホール(松江市)で公演したばかりだ。
佐藤良成さん、佐野遊穂さんの夫婦デュオで1998年に結成。ばけばけの地・松江では25年までに15回公演した。
「笑ったり転んだり」は佐藤さんが、文豪・小泉八雲の妻セツの口述筆記「思ひ出の記」を読み込み作詞した。「黄昏(たそがれ)の街 西向きの部屋」…。思ひ出の記にある、八雲が好んだ「西」を落とし込んだ。
夫婦の歩みを描く「ばけばけ」に合わせ、ハンバートハンバートの夫婦も、掛け合いをする曲を目指したという。通常は声を1人ずつ収録するが今回は一緒。掛け合い部分を強調し、夫婦が自然と一緒に歩く距離感や様子を出したかったという。佐藤さんは「現代とセツが生きた明治時代を分けられないような曲になった」と振り返る。
2024年12月に主題歌制作を依頼された。なじみのある松江がばけばけの舞台という偶然に驚いたという。セツの生まれた場所は松江市南田町とされる。夫婦が初めて松江でライブした場所も南田町の書店「アルトスブックストア」で、不思議な縁を感じた。
セツは極貧生活を経験し、最初の夫に逃げられるなど苦難がつきまとう。しかし思ひ出の記では出来事や心情を冷静につづる。放送を見て、佐藤さんは「つらい人生を送りながら淡々と生きたのがセツさんだと感じた」という。
現在は高校生、中学生、小学生の息子がいる。子育てを続けながら「夫婦で音楽活動が続いているのは珍しいね」と言われることもある。ライブでは楽屋で松江市民に子守をしてもらいながら歌ってきた。佐野さんは「いろんな人に助けられてここまで来た。なんとかなった」。ひょうひょうと前を向いた。