栃木県にある「鷲宮神社」の古くからの習わしが、SNS上で話題になっている。発端は、神社が投稿した1枚の写真。「当神社はお酉様につき 境内で鶏肉・卵を食すべからず」と書かれた看板。神社では鳥を神様の使者として崇めており、祭りでは唐揚げや焼き鳥などの屋台は断っているという。歴代の宮司もこれらの料理を避けて過ごしてきた徹底ぶり。でも、詳しく聞いてみると、境界線があいまいで…。卵焼き、茶碗蒸し、梅水晶はダメだけど、鶏ガラスープはギリギリセーフ?
鳥を神様の使者として崇める
神社では、祭神・天日鷲命(あめのひわしのみこと)の使いとして、鶏が大事にされてきた。鎌倉幕府時代には、2代将軍・源頼家が子どもの頃にかかった百日ぜきを患い、北条政子が鶏肉と卵を断ってお祈りすると回復したとの逸話も残る。そのため、境内のあちこちに鶏にまつわる像がある。
「神様のお使いがお酉様ですので、食べるのが忍びない、という思いがあります。父であった先代も20歳から食していませんでした」。そう説明するのは、宮司の菱沼拓己さん(24)。先代は牧場主からダチョウの卵をもらった際も1時間悩み、結局食べなかったそうだ。
筋トレする時は何を食べますか?
菱沼さん自身も、宮司になった2021年8月から避けてきた。ただ、外食時は苦労があるといい、「ラーメンに煮卵が付いてしまったり、ちらし寿司に錦糸卵がのっていたり…。最近では、知らずにいただいていた居酒屋の梅水晶が、鳥の軟骨を使っていることを知りました…」と白状する。
食べるか否か―。「先代から聞いた話でしか守っていないので、基準は分からないというのが率直な感想です」としつつも、唐揚げや卵焼きといった目に見える場合は、避けるようにしているという。茶碗蒸しは鶏肉が入っている可能性があるためNG。一方、ケーキやプリンは食べ、鶏ガラスープも目に見えないため「ギリギリセーフです」と独自の理論を展開する。それでも、間違えて食べてしまった際は罪悪感に駆られるという。
ちなみに、SNS上には「筋トレする時は何を食べますか?」との質問も。宮司の答えはこう。「サバ缶、オイコス(高たんぱくヨーグルト)、納豆」