境内で保護したお寺の猫 野良猫にいじめられ脱走→近所の人たちの協力で無事に戻る 家族の絆深まり、もっと甘えんぼうに

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

近所の方から「テンらしき茶白の猫がいる」との連絡が入ったのは、いなくなって1ヶ月余りが経ったころでした。急いで見に行くと、寺の近くの民家の庭にテンがいるではありませんか。テンは遠くに行ったわけではなく、寺の周辺をさまよっていたようです。境内は施錠していて入れないので、どう戻ればいいかわからなかったのかもしれません。無事に生きていてくれたことに胸をなでおろすも、かなり警戒心が強くなっていて、名前を呼んでも素早く逃げてしまい、捕まえることはできませんでした。

テンが寺に戻ってこられたのは、近所の猫好きの男性のおかげです。その方はテンのためにと、家にエサをずっと置いてくれていたんですが、8月末、男性宅にテンが不意に現れ、よっぽどお腹がすいていたのか、男性が差し出したチュールに近づいたそうです。その瞬間、すかさず捕まえてくれて。彼がテンをお寺に連れてきてくれたときは、もう嬉しくて。「テンが帰ってきた!」と大声で叫んで家族に知らせたほど。いなくなる前より痩せていたものの、けがはなく元気なまま。戻ってくるなり本堂の床下に逃げ込みましたが、しばらくすると出てきて、まるで何事もなかったかのように、私たちの元にすり寄ってきてくれました。

いくら脱走対策を講じていても、何かの拍子で逃亡してしまうことがあるということを身をもって知り、より一層気を付けるようになりました。今は少しの間でもテンの姿が見えないとすぐに探してしまいます。テンにしてもつらい3ヶ月だったはず。こうして無事に戻ってこられたのは、地域の方々がエサを置いたり見かけたら連絡をくれたりと、テンのことをいつも気にかけてくれていたから。本当に感謝しています。

以前はそれほど人見知りではなかったのですが、帰ってきてからは、臆病な子になってしまいました。毎週来られているヨガの先生など、定期的に何度も来られる方は覚えていて抱っこもさせてくれますが、見慣れない人がくると、境内の物陰など見えないところに隠れてしまいます。

ただ、私たち家族に対しては、以前より甘えんぼうになり、この出来事を通じて家族の絆も深まりました。阿弥は喜んでテンの耳舐めを再開。毎朝、本堂でのおつとめのときは2匹でじゃれあっています。当たり前だったそんな日常の光景のありがたさを、今はかみしめる毎日です。

【寺院名】浄土真宗本願寺派「居原山・圓満寺(えんまんじ)」
【住所】大阪府大阪市福島区玉川4-4-25
【ホームページ】https://fukusima-enmanji.org
【インスタグラム】@enmanji_ibara

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース