捕獲器に入ってきたのは、想定外の白い子猫 「白猫」を探していた夫婦と運命の出会い…大きな猫を怖がるけど人懐こい愛されキャラで幸せに

渡辺 陽 渡辺 陽

捕獲器に入った白猫

ハヤンくん(2歳・オス)は2021年12月、埼玉県の愛護団体が荒川の土手に仕掛けた捕獲器で保護された。生後8カ月くらいだった。もともとは、同じ区域で暮らしていた子猫2匹の母猫を捕獲するために設置したのだが、ハヤンくんが入ったのだという。

ハヤンくんはリターンされる予定だったが、安定してごはんをもらえる場所ではなく、また、保護施設内では大きな猫を怖がり、人間の膝の上ではいつまでもじっとしたりするなど、とても人懐こい性格だったため、急きょ里親募集をすることになったそうだ。

夢が現実に

埼玉県に住むKさんは、夫が大の猫好きで、いつか猫を迎えるなら「保護猫」「白猫」を迎えたいと漠然と思っていた。

「これまで夫婦ともども仕事が忙しく、家にいる時間もとても短かったのですが、ペット可の住居に引っ越したことと、コロナウイルスの影響で在宅勤務が増えたことも重なり、保護猫を迎えることを本格的に考えるようになりました」

2022年3月、Kさんが「埼玉 保護猫」というキーワードでネット検索をしていたら、この愛護団体がヒットし、インスタグラムの投稿でハヤンくんを見つけた。Kさんはひとめぼれ。お見合い希望のメッセージを送った。

インスタに投稿されていたハヤンくんの動画を見ると、ケージの中にあるベッドの中で小さく丸く固まって、か細い声で鳴いていた。撫でられるととても気持ち良さそうな顔をした。保護される前に他の猫に引っ搔かれた傷が鼻の頭に残っていたのも印象的だった。

「お見合いの日もハヤンはとても緊張していて、夫の膝で固まっていました。どうやら、周りにいた他の猫達が怖かったらしく、動けなくなっていたようです」

愛護団体の代表が、家までハヤンくんを連れてきてくれた。リビングの真ん中にケージを置き、婿入り道具で持ってきてくれたベッドをケージの中に入れると、すぐにケージに入った。ケージにタオルをかけて様子を伺っていると、ごはんを食べてトイレも済ますことができた。

「激しく鳴くのでケージを開けてあげたら、家全体を探検していました。夜鳴きは今でもするのですが、当時は初めてのことで、夫婦ともども心配で一睡もできませんでした」

信頼してくれた?

「ハヤン」は愛護団体の人がつけてくれた名前で、韓国語で「真白」という意味だという。保護されてから3カ月ほど経っていて、もう自分の名前も覚えているということだったので、Kさん夫妻は愛情がこめられた名前を引き継ぐことにした。

ハヤンくんはとても甘えん坊。今年に入ってから、Kさんがソファに横になると、お腹の上に飛び乗りゴロゴロ言いながらフミフミを始めるようになった。

「信頼してくれているのかな、と思うと嬉しいです。カシャカシャと音が出るリボンがついた魚のおもちゃが大好きで、カシャカシャという音が聞こえると、別の部屋にいてもすぐに飛んできます。毎日おもちゃを口にくわえて遊んでいるので、すぐにボロボロになってしまいます。初めておもちゃを買ってから1年、おもちゃは既に4代目になりました」

Kさんは、少しの外出でもハヤンくんの様子が気になってしまい、なるべく早く家に帰るようになった。

「夫と出掛けていてもハヤンどうしてるかなという話ばかりしています。ハヤンと遊ぶ時間を増やすために、仕事も効率良く進められるようになりました」

Kさんはハヤンくんに「うちに来てくれてありがとう。そして、これからも元気に長生きして、幸せな時間を一緒に過ごそうね」と伝えたいそうだ。

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