「ここにいますよ」と民家の玄関先で鳴く黒猫 人懐こい野良は温かい家に迎えられた 「幸せになるんだよ」

松田 義人 松田 義人

2023年、関西のとある民家に現れるようになった黒いメス猫。周辺の野良猫とも仲良く過ごすことができる上、人間も大好きな様子。民家の家主さんが室内から出てきてくれるまで玄関先で鳴き続け「私はここにいますよ!」と存在感をアピールする積極的な猫でもありました。

家主さんは、この黒いメス猫に「しぽたん」という名前をつけましたが、ここまで人懐っこいということは飼い猫の可能性もあります。警察や動物愛護センターに届け出の有無を確認しましたが、残念ながら届け出はなく迷い猫ではなさそうです。人懐っこすぎると、心ない人からの虐待に遭う可能性も考えられるので、「どうしたら良いか」と考えあぐねていました。

頭に浮かんだのが関西圏を中心に活動している保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」。しばらくはこの家主さんが、しぽたんのお世話にすることにし、「ねこから目線。」に依頼して里親募集をかけてもらうことにしました。

「ずっとそこで暮らしていたの?」

「ねこから目線。」の呼びかけから間もなく、里親希望者さんが現れました。聞けばその家庭には先住猫がいるとのことですが、社交性の高いしぽたんです。きっとすぐなじんでくれるだろうと、まずはこの家でトライアルを実施することになりました。

全く物おじしないしぽたんは、まるでずっとそこにいたかのように、部屋の中を探検し始めました。トライアルの際、「ねこから目線。」スタッフの配慮で、「先住猫用」「しぽたん用」と2つのケージを用意していたものの、しぽたんはケージを見向きもせず、この部屋の中で自分が一番気持ち良い場所がどこなのかを、探し歩いている様子でした。

これだけの溶け込み方でもまだ「猫をかぶっている状態」。さらにこの部屋に馴染むと本調子を見せるようになり、遊びスイッチが入ると大暴れ。さすがの里親希望者さんも「しぽたんの暴れっぷりがすごかったです(笑)」と言っていましたが、それでも温かく見守り、しぽたんとの絆を深めてくれました。

里親さんは2匹のオリジナルグッズを作っていた

しぽたんと先住猫の相性もバッチリ。攻撃し合うことはなく、お互いのペースを尊重し合いながら仲良く一緒に過ごしていました。これらのトライアルの結果を経て、しぽたんは正式にこの優しい里親さんの元で暮らすことになりました。

正式譲渡に際して、保護してくれたあの民家の方と一緒に「ねこから目線。」スタッフが里親さんの家を再訪問することになりました。譲渡証を交わすためでしたが、部屋のあちこちに、しぽたんと先住猫の写真で作られたオリジナルグッズがありました。

「ねこから目線。」スタッフは「たっぷりの愛情を注いでくれる優しい里親さんと出会えて本当に良かった」と、小躍りしたくなるほどうれしい気持ちになりました。そして、この温かい家で、先住猫と一緒にしぽたんがずっと幸せに過ごしてくれることを願いました。

「ねこから目線。」
https://nekokaramesen.com/

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