ブリーダーが孤独死→ガリガリになりながら生き残った7匹 家主「殺処分させたくない」と保護団体へ連絡

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「飼い主が死んで、アパートに猫たちが取り残されている」

動物保護施設「NPO法人ねこひげハウス」(埼玉県八潮市)の代表・石川砂美子さんのところに、そんな連絡が入りました。東京都葛飾区にあるアパートの家主からの保護依頼でした。

石川さんによると、連絡があった9月24日から10日ほど前にアパートの住民から家主に「(一室から)異臭がする」と通報があったとか。警察とアパートの管理会社が通報のあった部屋に立ち入ると、男性の遺体を発見。単身で住んでいた60代の男性でした。死後1週間から10日ほど経っていたとのこと。さらにガリガリに痩せた数匹の猫も見つかったといいます。

「家主さんから連絡がきてお話を伺ったところ、亡くなっていたのはブリーダーをやっていた男性だったそうです。ペットが飼えるアパートだったようで、部屋にはアメリカンショートヘアの猫たちがいたとのこと。9匹のうち2匹がお風呂場で重なるように死んでおり、残りの7匹は生きていて…残された猫たちを東京都の動物愛護相談センターに引き取ってもらおうと手続きをしたようですが、場合によっては殺処分になる可能性もあり、保護をお願いできる団体を探していたと聞きました。家主さんがつないでくれた命を見放すことはできなかったので、4匹を引き取らせてもらったんです」

風呂場で重なるように死んでいた2匹…生き残った7匹は、2つの団体が保護

生き残った7匹のうち4匹の猫たちがねこひげハウス、3匹はNPO法人「ALMA(アルマ)」(東京都葛飾区)が引き取ることに。すぐにねこひげハウスの代表・石川さんは、猫たちの一時保護先となった家主さんの空きテナントに足を運びました。

「猫たちは段ボールで作った囲いの中にいました。管理会社の関係者の方が毎日ご飯と水をあげていたそうです。でも、どの猫もやせ気味でした。発見時はみんなガリガリだったと聞きましたが、室内に置いてあった食べ物の袋が開いていたので、袋を破って空腹を満たしながら何とか生きながらえていたのでしょう。かなり衰弱していて、歩く足がヨレヨレ…高いところにジャンプできない子たちばかり。家主さんが猫たちを空きテナントに移動させる際、1匹の雄猫がものすごく悲しそうな顔をして涙を流しているのを見て…生かしてあげたい、幸せになってほしいと思って、私たち団体に託してくれたんです」

ねこひげハウスにやって来た4匹の猫たち。そのうち右目のない雄猫に里親候補が現れました。ねこひげハウスと同時に保護の依頼を受けたアルマから保護猫をお迎えしたことがある元里親さんです。以前もアメリカンショートヘアの保護猫の里親でしたが、その猫は今年7月に虹の橋を渡りました。今回「亡くなった猫にそっくり。引き取り先がなければ我が家にお迎えしたい」と運命を感じ、雄猫の里親に名乗り出たそうです。

そして、残り3匹のうち雌猫と雄猫2匹が預かりボランティアさんのところへ、右目がチェリーアイ(※目頭にある第三眼瞼が飛び出してしまう病気)の雌猫は施設で過ごしているといいます。

「引き取った猫たちは、預かりボランティアさんに協力を得たり、里親さんが現れてくれたりと順調に良い環境で過ごしている状況です。いずれの猫たちも年は6歳は超えているようで、シニア期に差しかかった子がほとんど。中には体に問題があったり、歯もボロボロで歯科処置が必要だったり。繁殖目的で飼われていたこともあり、避妊去勢手術は全くしていませんでした。ただまだ体が弱っているので、もう少し体力をつけてから手術や処置などを行うつもりです。それから里親募集を掛けますが、里親さんが見つからなければ私たちの施設で終生飼育していきます」

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「ねこひげハウス」は、新シェルターへの引越し・設備費用とケアの必要な傷病猫や高齢猫の医療費の捻出に向けて、クラウドファンディング「ねこひげハウス|1匹でも多く救うため、新シェルターへの移転実現へ!」(READYFOR)に挑戦中です。

「ねこひげハウス|1匹でも多く救うため、新シェルターへの移転実現へ!」

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