麦茶を飲むと、京都市動物園のゾウに貢献できる-。そんな取り組みがこの夏に始まった。飲料を製造する際に出た麦茶殻をゾウが餌として食べる取り組みだ。動物園のゾウが喜ぶなら冬場もどんどん麦茶を飲みたいところだが、どんな仕組みかを動物園と飲料会社に聞いた。
市動物園の北東部には「ゾウの森」があり、雄1頭、雌4頭の計5頭のアジアゾウがいる。うち4頭は2014年にラオスからやってきた若いゾウで、来園者に人気を博している。
市動物園で今年6月に始まったのは飲料大手の伊藤園(東京都)との実証実験だ。伊藤園が麦茶に使用した茶殻を和歌山県にある工場から動物園に運び、ゾウは麦茶殻をおからに混ぜた状態で餌として食べる。
それだけでは終わらない。
ゾウが排出したふんは堆肥化され、伊藤園が契約する近畿地方の農家の茶畑で肥料として使われる。
市動物園によると、麦茶殻は冷凍された状態で週に1度15~20キロが届く。飼育員が麦茶殻を解凍し1日に500グラムずつ、おからに混ぜて与える。
動物園には9月末時点で106種519点の動物や鳥類などがいる。近年の物価高の影響を受けて餌代が上昇する中、伊藤園には一助になりたいという思いがあるようだ。
動物園の担当者は「ゾウに普段からさまざまな種類の餌を食べさせることで、何かの種類の餌が入手できなくなっても対応しやすくなる。また薬などを服用させる際に混ぜる餌の選択肢が増えるなどのメリットがある」と話す。
ゾウが麦茶殻を食べる光景は、開園日の午後から夕方にかけての時間帯にゾウ舎を訪れると見られる。