動物園のガチョウが歩行器でリハビリ!? ガチョウが苦手で人間が大好きという神戸市立王子動物園の人気者「がっちゃん」が、一時期、立ち上がることもできなくなりました。公式SNSで公表されると心配の声が上がりましたが、今では歩行器がなくてもスタスタ歩けるように。頑張りを支え、見守りを続ける飼育員の原野唯華さんに話を聞きました。
がっちゃんは2009年生まれのオス。人の手で育てられ、ふれあい広場で暮らしています。
―立てなくなった、と
「2年くらい前から足を痛がるようになって。足先の関節に炎症が起きていて、マッサージすると良くなっていました。でも、今年の4月、全く立てなくなることがあって。歩けたとしても転んでケガをする心配があったので、歩行器でリハビリしてもらうことにしました」
―すんなり乗れた?
「6月初めに歩行器を初めて見た時は『なにこれ』 といった顔で少し戸惑ったみたいです。でもそれも一瞬で、乗るともう一歩目から『がーっ!』と進んでいました」
―上手に歩けるように
「はい。今ではもう全く何ともなく歩ける日もあって、がんばったなと思います。実は、がっちゃんはどちらかと言えばサボりたいみたいで、それでも毎日1時間くらいは乗ってもらっています。筋力をつけ、正しい歩き方、体勢を保ってもらうためです」
ー後ろに下げている袋は?
「袋にはふれあい広場の砂を入れていて、合計1.5kgくらい。負荷がかかるようにつけています。張り切ってスピードが出てしまうのも防げます」
―がっちゃん専用ですね
「これまでもガチョウの歩行器を作ったことはあって、これはがっちゃんの体格に合わせて一から。ふれあいでは3台目の歩行器で、最初は、おばあちゃんヒツジが歩けるようにと作りました」
―リハビリ中に出会ったら?
「歩行器の時も、自分で歩いている時も、スタッフが必ずそばで見ています。少しアップダウンもあって、進みにくそうにしていることもありますが、これもリハビリになるので見守っていただければと思います」
いつも多くの人に囲まれて大人気のがっちゃん。最近は暑さのせいで来園者が減って、平日の昼間はちょっとつまらなさそうにしているのだそう。「がっちゃんは本当に人懐こくて、人が大好きで、ちやほやされたいタイプ。特に落ち着いた大人の女性が好きで、男性は苦手みたいです」と原野さん。
「ふれあいの生き物たちは一頭一匹それぞれみんな個性があります。障害や病気があっても、『ああもうムリ』ではなくて、 どうサポートできるか、どうしてあげたらこの子がしたいようにできるか、考えながら向き合っています。人間も同じですよね。がっちゃんや、ふれあいのいろんな子たちを見て、何か感じていただけたらうれしいです」
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