高すぎる査定額には要注意! 住宅売却のプロが教える、人気の一括査定サイト活用法

國松 珠実 國松 珠実

―――私たちが一括査定サイトを利用するときに気を付けることはありますか?

他社よりも突出して高い査定額に飛びつかないことです。

―――えーっと……でも飛びつきたくなりますよね?

そこが注意していただきたいポイントです。「査定額=売れる額」ではありません。「査定額は提案額」。だから、売り出しを始めた後から査定額の数字が大きく動く可能性があります。査定金額が高いからといって、高く売れるわけではないんですよ。

 その土地周辺の相場、時代の相場、物件の価値で査定

―――ええー……。でも、なぜそんな高い査定をするんですか?

お客様に飛びついてほしいからです。私、先ほど「不動産会社のゴールは、お客様の獲得」と言いましたね。物件を販売するためには、まずその物件を持つお客様を獲得しなければなりません。

―――そりゃそうですけど。そもそも、査定金額はどのように計算するんですか?

主に3つの要素から算出します。

まず物件周辺の過去の売却価格から割り出される相場。今の時代に見合った価格。そして物件そのものの価値です。するとどの不動産会社も、大体似たような査定額になってしまうものなんです。高い査定額を提示する会社は、そこに何かの要素を上乗せするんですね。

―――もし、高い査定額を提示した不動産屋さんに頼むとどうなりますか?

よくある事例をご紹介しましょう。例えば2000万円くらいの査定額を提示する会社ばかりの中で3000万円の査定をした会社があって、そこへ頼むとします。さっそくその会社は3000万円で売却情報を公開。でも、高すぎると売れません。その地域の物件を検討している人は、その地域の相場をよく研究しているので、手を出さないのです。

すると不動産会社は、売り主に「少し値を下げてみましょう」と提案します。2800万円で、さらに2500万円でという調子で、半年から1年かけて本来の適正価格まで下がります。

―――2000万円程度にまで下がると。そこでやっと売れるわけですね?

しかしその間、物件情報は公開され続けたわけです。するとどうなりますか?「もっと待てばもっと下がるのでは」とか「何か理由があって売れないのでは」などと余計な期待や憶測が流れます。

―――良くない印象を持たれてしまっているんですね。

情報の鮮度は大事です。この事例だと、せっかく時間をかけたのに適正価格を下回った額でやっと売却、ということになりかねません。お客様もご不満でしょう。

一方、不動産会社は多少売却価格が下がっても、大きく損をすることはありません。それより1人でも多くお客様を獲得して少しでも利益を得る方が、メリットがあります。だからこうした会社がなくならないのです。

―――ちょっと高すぎる査定額には、要注意ですね。

でもこうした会社は一部ですから、ご安心ください。大多数の不動産会社は「売れ残り」を避けたがります。

「相場より多少高くても欲しい」という買い手もいらっしゃるかも知れないので、不動産会社は相場より少し高い価格で販売を開始し、短い期間で売却できるよう努めます。

もし売れずに残っていたらチャンスかも

一括査定サイトに登録する不動産会社の私から、同業の皆様へ1つアドバイスしたいことがあります。最初にお客様を獲得できなくても、半年ほど経ってまだ売れ残っているようなら、こちらからお客様にアプローチしてみましょう。すると高い確率で、こちらに乗り換えていただけます。

―――半年も売れないままだと、お客様が相手の不動産会社に不満を持っているかも知れないですからね。

そうなんです。一括査定の依頼が来た瞬間に営業をかけるのも大切ですが、競争相手が多いですよね。でも半年後に営業をかける不動産会社などいません。

―――途中で不動産会社を変えた場合、お客様は手数料などかかりませんか?

原則かかりません。お客様は売却できた時に初めて仲介料を払う仕組みです。それ以外の費用は発生しないのでご安心ください。

―――なるほど。よく分かりました。ありがとうございます。

◇  ◇

あなたの身近な問題になるかも知れない、不動産の疑問アレコレ。次回は仲介と買取についてお話ししましょう。

「IESUKU」サイト https://www.iesuku-baikyaku.com/

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