「地域のネットワークと長年の経験」を活かして、お客様の住まい探しのサポートをしてくれる不動産会社や住宅メーカーの営業担当さんたち。しかし、そんな営業のみなさんにも「こんなお客さんの家探しはお断りしたい……」とつい愚痴りたくなることがあるようです。
守秘義務があるため「個々の事例」は紹介できませんが…あくまで「よくあるケース」について、不動産会社に勤務するAさん(関東在住、50代)に語ってもらいました。
「建築会社や大工さんの親切」に期待しすぎ!
ひとつ目は「採算度外視、利益を削って依頼主のために東奔西走する」ことを求められてしまい、やんわりお断りすると機嫌が悪くなるというケース。
「匠と呼ばれる建築家」が施主の家づくりの課題をさまざまな知恵を絞って解決する“過去の人気テレビ番組”の影響を受けてなのか、「廃材やリサイクルの建材などをツテで使えませんか?」「大工さんについでに造り付けの家具を任せたい。その日の工賃の範囲で!」などなど、「サービス」への大きすぎる期待をかけるお客様が少なくないそうです。
「好意でされること」を要求するお客様は、絶対に「満足」することはないので、丁重にお断りし、むしろミスや行き違いが生じないよう規定の業務以外の行動は絶対に取らないように注意するそうです。
何回訪ねてもらってもそんな金額の土地は出てきません!!
ふたつ目は「予算と相場」について納得いただけないケースです。
「ウチはどうしても子どもが多いから、これだけの広さが必要です!!なんとか〇〇万円で見つけてください!」
「探せば、この金額で土地を売りに出してもいいっていうオーナーさんが出るかもしれないじゃないですか、ほら急に現金が必要になったとか、相続争いで急いでいるとか!!」
難しいですとお答えしても何度も足を運んでくださるそうですが、やはりそんな「美味しい話」がでてくることなどめったにありません。一般の不動産会社が扱う物件はきちんと相場にのっとった価格になっていることがほとんど。
泣き落としをされると営業としてお断りするのも辛いので「この不動産会社では見つけられない!」と思ったら早く諦めていただきたいのですが、なかなか……というお話でした。
ちなみに「粘った甲斐があって、希望通りの物件を見つけることができた」というパターンは過去にあったのか聞いてみると、「最終的にお客様側で、何らかの条件で折れてくださった場合については多少出てきますね!」とのことでした。やはり条件をしっかり整理することが、不動産探しの重要ポイントのようです。
お願いですから「夫婦の意見」は合わせてきてください
最後のケースは、はからずも危機に直面してしまうご夫婦についてです。
住宅展示場やマンションのモデルルーム、不動産会社のカウンターなどでの打ち合わせ時に、いきなり「離婚する!」なんて言葉が出てくるほど真剣なケンカになってしまうこと、意外とめずらしくないそうです。
住宅購入はこれからの人生設計に大きく関わること。これから子どもが何人欲しいのか、将来親と同居するつもりがあるのか。いずれ大型犬を飼ったり、キャンピングカーで旅行したりといった、生活スタイルに関わる趣味を持ちたいと思っているのか……。
そんな重要なことをこれまでお互いに一言も話したことがないのに、いきなり不動産会社の営業担当に打ち明けてしまって、「パートナーがビックリ」→「そこから大喧嘩に発展!!」…というケースが後を絶たないそうです。
そんなときは営業担当者どう対応するのでしょうか。
「住宅購入をきっかけに、昔からの憧れを思い出しちゃったり、これからの生活のイメージが膨らんだりしますのでね!!」などといいながら、なんとか大事にならない間に「あるある」に収める努力をされるそうです。
意外なところで夫婦喧嘩の仲裁までされていた不動産会社の営業担当さんたち…日々、本当にお疲れ様です。