もしもの場合は一刻を争うから
ーーこれまでにもタクシーの警告灯をご覧になったことがあったのですか?
「この時が初めてでした。祖父がタクシードライバーだったことと、漫画の『こち亀』で紹介されていたのですぐに気づきました。誤作動の場合もよくある、と聞いていたのですが、万が一の場合を考え、110番通報するに越したことはないだろうと判断しました」
ーー追尾中の実況が的確で、走行位置なども非常にわかりやすかったです。現場はよく走行される場所なのですか?
「普段からよく利用しています。脇道や交差点がほとんどない区間だということも知っていたので、説明しやすかったのだと思います」
ーーオペレーターさんとのやり取りの中で、事件の顛末は知らせなくていい、と返答された理由は?
「特に深くは考えていませんでした。タクシーに声をかけた警察官の雰囲気からも、事件性はそこまでなさそうだったことと、あとは警察のお仕事ですから、任せておけばいいかな、と」
ーーでは、「誤作動」という顛末はどのように知ったのですか?
「実はあの場所は、本来自分が曲がるところを通り過ぎていたため、あの後Uターンして、反対車線から現場を確認したんです。すると、パトカーだけが止まっており、タクシーはもういなかったので、事件ではなく誤作動だろうと判断しました。物騒な事件も多いですから、事件ではなかったようで、ホッとしました。110番通報も不要だったのかな、という思いも一瞬頭をよぎりましたが、もしもの場合は一刻を争うでしょうし、通報して正解だったと思っています」
もし凶悪事件だったら…実はかなりテンパってました
ーー事件だった場合、巻き込まれる危険性などを考えると、警官が到着したのを確認した段階で、速やかに立ち去られたのも正解でしたね。
「それがすぐに立ち去った最大の理由でした。もし凶悪犯が乗っていたら…と考えると怖いですよね。それもあって、横に並んで並走するのさえ躊躇しました。私が落ち着いて冷静に話している、というコメントも多かったのですが、実はかなりテンパってドキドキしてました。テレビで見た『交通警察24時』のパトカー無線の様子を思い出して、何を伝えたらいいんだろう、と考えるのと同時に、何があっても今自分が事故を起こすことだけは避けなければ!と考えた結果、普段以上に周囲を確認しながら運転していたのが良かったのだろうと思います」
ーー皆さんご無事で良かったです!ちなみに、今回のドラレコ映像をYouTubeに投稿された理由は?
「タクシーやバスの非常灯について、もっと周知されて欲しいという思いからでした。実際、多くの方が知らない、とコメントされていたのは意外でした。110番通報にしても、なかなか練習する機会もないですし、免許更新の時などに全ドライバーが確認できるといいなと思います。
改めて今回は、110番のオペレーターが的確に指示をしてくれたこと、また、警官が現場に到着するまで約5分と、非常に早かったことにも驚きました。こんな的確に説明できない、というコメントも多かったですが、動画でもわかる通り、オペレーターさんはGPSでも位置確認できますし、『〇〇方面に向かってる途中』とか、目印を伝えるだけでも十分だと思います。これについても、警察からガイドラインみたいなものがあるといいですね」