関西で陶器を使った釜めしといって真っ先に思いつく駅弁がこれ。内径11センチ、深さ7.5センチの常滑焼の容器が昔ながらで懐かしさを思わせる。掛け紙には合掌集落っぽい絵がプリントされ、長く販売が続けられている感じもして郷愁を誘う。十字に掛けられたひもを解いて掛け紙を外すと、ふたも陶器製で持ち手のような膨らみがあり、容器からもタイトル通りのこだわりを感じる。はやる気持ちを抑え、ふたを取って箸を割った。
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まず目に飛び込んできたのがエビ、栗の甘露煮、山菜の信号色トリオ。他にも黒豆5粒に松茸2切れや、ショウガ、お得意の甘辛細切れ牛肉もしっかり入っていて彩り鮮やか。
どこから食べようか迷うが、牛肉から掘るように食べ進めた。錦糸卵の下の炊き込みご飯は軟らかめでゴボウ、ニンジン、油揚げに栗がコロンと混ざる。牛肉の甘辛いだしがご飯に染みて実においしい。今回はおこげも多くあって香ばしく、ご飯だけで二味。得した気分になった。
中から出てくる色々な食材や、彩りのよい単体のおかずの歯応えを楽しみ、素晴らしい味との出合いに感謝。栗や松茸の風味で秋を感じることも出来る一品だ。
前日までの取り置き予約が必要。着く時間を電話で伝え、駅出口から右斜め前徒歩1分の店舗で購入する。保温性の高い釜めしだけに、調製から1時間たってもホカホカ温かいまま食べられるのもごちそうだ。
1200円。山陰本線・和田山駅「福廼家総合食品㈲」☎0796722018