懲戒制度のなかで最も重い処分である「懲戒解雇」を適用するケースにはどのようなことがあるのでしょうか。一般財団法人労務行政研究所(東京都品川区)がこのほど発表した「企業における懲戒制度の最新実態」によると、「売上金100万円を使い込んだ」「無断欠勤が2週間に及んだ」などに回答が集まったそうです。
調査は、全国証券市場の上場企業3794社および上場企業に匹敵する非上場企業1600社を対象に2023年4月~7月の期間に実施され、225社から回答を得ました。
まず、ケースごとに「処分の内容」を複数回答で教えてもらったところ、最も重い懲戒処分である「懲戒解雇を適用する」という回答が多かったケースは、「売上金100万円を使い込んだ」(75.9%)、「無断欠勤が2週間に及んだ」(74.1%)、「社外秘の重要機密事項を意図的に漏えいさせた」(69.4%)が上位となりました。
続いて、「解雇における退職金の支給状況」を調べたところ、諭旨解雇では退職金を「全額支給する」(30.5%)が最も多く、「全額または一部を支給する」(4.7%)と「一部支給する」(20.0%)を合わせると、半数以上が何らかの支給を行っています。
一方、懲戒解雇では6割以上が「全く支給しない」(63.2%)と回答し、「全額支給する」はわずか0.4%、「一部支給する」も1.8%に留まっていました。
さらに、「懲戒段階の設定状況」について設定数をみると、「6段階」(41.8%)が最も多く、以下、「7段階」(28.4%)、「5段階」(15.6%)が続いています。
また、「設定している懲戒処分の種類」を複数回答で答えてもらったところ、「懲戒解雇」はすべての企業で設定されており、「譴責」(91.9%)、「減給」(95.9%)、「出勤停止」(98.2%)などもそれぞれ9割以上に。なお、「懲戒処分の実施パターン」については、「譴責、減給、出勤停止、降格・降職、諭旨解雇、懲戒解雇」の6段階(31.5%)が最も多くなっていました。