サボテンの花が咲いた!?写真を撮りに行こう!と思ったらわずか数時間で…亡き名芸人の持ちネタみたいに!? 新人記者の反省

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 「サボテンが、きれいに数多くの花をつけました」。8月下旬の昼下がりに、神戸新聞北摂総局宛てにメールが届きました。添付されていた写真には、とげとげしたサボテンから腕のようなものがニョキニョキ伸び、その先に淡い白と薄紫の花。2株で計16輪も咲いていました。

 「これは映える!!」。22歳新人記者、初めてサボテンの花を見られる、と喜び勇んで翌日午前に撮影に伺うことを伝えましたが、午後7時前に再びメールが…。そこには「花がしぼんでいます」との言葉とともに、全ての花がしわしわになってだらりと垂れ下がり、見るも哀れな姿が写っていました。先輩曰く「何かに似ている…そうだ、アレだ。8月に亡くなった元吉本新喜劇の桑原和男さんの持ちネタの、長靴下を両胸から垂らす、アレ…」

 まさかこんな短時間で枯れてしまうなんて…。それでも「とりあえず話だけでも聞きたい」と、サボテンを育てる兵庫県三田市の丸山美恵子さん(86)の自宅を翌日訪ねました。「昨日はよぉ咲いとったのに、晩暮れたらしぼんでしもて」と申し訳なさそうに迎えてくれた丸山さん。目の前のサボテンの花は、見事にだらり。いえいえ、こちらこそすみません、知識不足で、もっと早く来るべきでした…。

 京都府立植物園(京都市)によると、このサボテンは「旺盛丸」と呼ばれ、学名はエキノプシス・オキシゴナ。ブラジル南部からウルグアイ、アルゼンチン北部に分布して、寒さにも強い品種だそうです。また、サボテンの花は基本的に開花から1日、短いと数時間でしぼんでしまうと教えてくれました。

 サボテンの花自体が咲くことは珍しくないそうですが、1株に8個も花が咲いたのは「育て方が良く、株が充実していたんでしょうね」とのこと。丸山さんは20年ほど前に娘から「旺盛丸」をもらい、液肥を週に1回与えてきたそうです。「毎年咲くのを楽しみにしていて、つぼみがついたら待ち遠しいの」と話してくれました。

 厳しい冷え込みから、インターネット上などで「兵庫のチベット」や「関西のシベリア」とも称されることのある三田の極寒の冬を耐え抜いてきたサボテンたち。その強さとはかなさを垣間見た経験となりました。

 そして痛感したのは、記者の取材はスピードが大事だということ。サボテンの花は待ってくれなかった…。

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