「震えてる?」「中に入れてあげて!」旭山動物園のライオンの日常投稿、リプ欄が白熱 園は「外に出るかどうかはライオン次第」

茶良野 くま子 茶良野 くま子

激寒の北海道。旭山動物園は日中も氷点下は当たり前です。幼い子どももいるライオン一家の日常を同園の公式アカウントが毎日のようにツイートして大人気なのですが、今年1月、風雪を避けて寄り添う動画をツイートしたところ、リプ欄が白熱しました。

「寒そう…」「震えてる?」「サバンナに雪降らないでしょ!」…と、動物を思いやるがゆえの言葉にも見えます。

   

一方、別の日に、雪が積もった展示場を駆け回る一家の姿がツイートされると、「かわいい」「楽しそう」「大きなネコちゃん」と大絶賛です。

ライオンは、オリト(5歳オス)、イオ(2歳メス)、2022年9月生まれの3姉妹フウ、レイ、イト。

同園の飼育係で「もうじゅう館」担当・若山さんに聞きました。

—今年最初のライオン動画にいろいろ反応がありました

「この日はいつものように動物用扉を開けるとライオンたちは外へ出ました。昼過ぎ頃の撮影です。雪は降っていましたが特別寒い日ではありませんでした」

—かわいそう、中に入れてあげて、という声が目立ちました 

「扉を開けても出ないときは展示はしませんし、無理矢理外へ出すようなことはありません」

—寒いから展示中止、とはならないんですね

「冬期の展示は基本的に不定期です。その日の気温、天候、前日までの気温などの条件と、外での様子を見て決めています。展示中止にすることもありますが、扉を開けて出て行くのであれば、10分だけ、掃除中だけ、といった感じで外に出ます。『もうじゅう館』の室温は15〜17℃ほど。遠赤外線暖房機の下にいるとプラスでじんわり暖かくなっています」

—展示を中止したことは?

「展示しなかった日は一度あります。前日までと比べて急激に気温が下がった日で、担当者が判断しました。例えば、秋口の0℃と今の時期の0℃とでは、今の時期の方が暖かく感じるので、肌感覚的なところでの判断もあります」

—特に状況説明なしでツイートする理由は?

「当園のSNSは『動物園の日常をお届けする』ということで運営しています。『ここを見てほしい』『こんな取り組みした』と記載することもありますが、あくまでも日常をツイートするため、画像や動画のみで、コメントは入れないことが多いです」

遠方やコロナ等で来園が難しい状況でも動物たちを見てもらいたい、より多くの方に興味を持ってもらいたいと、同園ではSNSでの情報発信に力を入れています。

「動物園に行こうというきっかけになっている」とメリットを感じる一方、「SNSはあくまでも『日常の一瞬の切り抜き』なのですが、その投稿がすべてであるように受け取られてしまうことがあります」と若山さん。

ライオン一家の姿は多くの人を魅了し大人気ではありますが、「『個』だけに目を向けられたり、主観的にペット感覚で見る方も多く、『ライオン』として見てほしいという思いもあります。ライオンはネコ科では珍しく父親も子育てに参加し、群れで生きる動物です。その群れとしての成長、親子の関係の変化などを見ていただきたいです」

若山さんはさらに「冬ならではの動物たちの生き抜く力を感じていただきたいです。当園には地元の動物もたくさんいるので、身近にいる動物にも目を向けるきっかけになればと思います」と話してくれました。

 

 

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