善かれと思い外猫たちに餌を与える人たちがいます。
「かわいい猫たちがご飯に困らないように」という気持ちは理解できる一方、不妊や去勢手術をしていないため次々と子猫が生まれ、繁殖してしまいます。とはいえ、外は厳しく、狐や狸、カラスなどに捕食された無惨な亡骸や、ばら撒かれた餌に群がる虫、さらに糞尿被害も深刻で餌やりさんと住民とのトラブルは警察沙汰にまで発展することも少なくありません。
こういったことからTNRM活動(野良猫をいったん捕獲し、不妊・去勢手術を行なった後、元の場所に戻し、見守る活動)などが全国的に広がり、都市部ではいまや当たり前になっています。
ボラさんのサポートの元で無事出産
とある地方でのこと。やはり外猫たちの生活を思い善かれとご飯を配る人がいましたが、地元ボランティアが説得して協力を取り付け、コツコツと手術を進めていました。結果、昨年末には全ての猫のTNRMが行き届き、「これで来年は子猫を見ずに済む」と喜んでいましたが、その後また新たにこの地に捨てられたのか、これまで見たことのない猫が複数確認されました。
これは、TNRだけで終わらず、「M(見守り)」を続けていたからこそ発見されたもの。地元のボランティアさんはすぐに立ち上がることとし、新顔たちも手術のための捕獲作戦が繰り広げられました。
その後、ようやく保護できた1匹のメス猫は、すでに大きくお腹が膨らんでおり、いつ産んでもおかしくない状況でした。ボランティアさんは保護後、自宅に連れ帰り「おでんちゃん」と名付けました。
静かな部屋にケージを起き、なるべくおでんちゃんを刺激しないようカメラ越しで出産を見守り、無事4匹のかわいい子猫が産まれました。
母子ともに無事でホッと胸を撫で下ろすボランティアさん。子猫がある程度成長したところで、里親さんへの譲渡をしようと計画していました。さらにおでんちゃん自身も里親募集をかけ、迎え入れてくれる希望者さんを探そうと、当初は思っていました。
しかし、おでんちゃんは子猫を守ろうとナーバスになり、人に攻撃的になってしまうため、里親希望者さんへの譲渡は時間がかかると判断。結果的に避妊手術して元の場所に戻す、さくら猫になってもらうことになりました。
健康上の問題なし。元気いっぱいの4匹の子猫
子猫たちはそれぞれ「がんもちゃん」「ちくわちゃん」「たまごちゃん」「しらたきちゃん」と、おでんちゃんママにならっておでんのタネの名前をつけました。
ボランティアさんは、子猫たちが生まれて以来、ずっと食事や体重測定などの健康管理を続けました。とびきり元気な4匹は健康上の問題もなく、たくさんの愛情を受けてスクスク元気に成長しました。ボランティアさんの家で同時期に生まれた別の子猫たちとも一緒に育ったので、猫社会でのコミュニケーション能力は完璧でした。
2匹ずつ優しい里親さんの元へ巣立っていった
ある程度成長したところで、ボランティアさんと懇意の東京で猫の保護活動を行うボランティア団体・みなとねこの預かりボランティアさん宅へ移動し、里親募集を開始ました。
すると、いち早くがんもちゃんとしらたきちゃんのペアが里親希望者さんとつながりました。さらにほどなくして、ちくわちゃん、たまごちゃんのペアも迎え入れてくれる家族が見つかり、こちらの2匹も幸せをつかむことができました。
みなとねこでは、1歳未満の子猫の場合は基本的にペアで譲渡を推進しているそうです。社会化の重要な時期に兄妹と過ごすことはとても重要ですし、元気いっぱいギャングさながらの子猫のパワーを人間が受け止めて遊び相手をするのは本当に大変で、ペアで迎えたほうがよほど楽だといいます。
がんもちゃんとしらたきちゃん、そして、ちくわちゃんとたまごちゃんも、それぞれ新しい優しい家族のもとできっと今日もきょうだい仲良く楽しく暮らしていることでしょう。
※現在みなとねこでは特定の協力団体以外からの保護依頼などは受け付けておりません。