「俺が来るまでよくこらえた。後は任せろ」
まるでアニメや漫画のような息を呑む展開に、『鬼滅の刃』に絡めた絶賛のコメントが寄せられました。
「さすが水柱」
「俺が来るまでよくこらえた。後は任せろ」
「非常事態にも冷静で的確な判断、行動。衣装だけでなく、心まで本物の柱です!」
「お子さんたち、やってしまった感と恐怖とかあると思うけど、鬼滅の刃の冨岡義勇が助けてくれたって一生覚えてるんだろうなと勝手にほっこりしてしまいました」
初期消火中の雷(ライ)さんに代わり、出火したお宅の5歳と2歳を抱きしめて保護していた「まあさ」ちゃんは、雷(ライ)さんの次女。母である雷(ライ)さんの背中を見て育った、優しくて頼もしい10歳の女の子です。
この日、雷(ライ)さんがコスプレをしていた『鬼滅の刃』の冨岡義勇は、「水の呼吸」を使う水柱。鬼殺隊最高位の剣士「柱」の1人です。
「壱壱玖の型、水面切り×2水流飛沫・乱、119」と、富岡義勇の技名に絡めた大切なメッセージを投稿していた雷(ライ)さん。冨岡義勇コスで幼い命を炎と煙から守った時のことについて、お話を聞きました。
ためらいはありませんでした
ーー「コスプレのまま外に出るだけでも結構な勇気がいるのに」というコメントも寄せられていましたが、コス姿での消火活動にためらいはありませんでしたか?
「まったくありませんでした。この時はウィッグも被った状態のままで、本当に家を出る5分前~10分前でしたが、普段からウィッグや衣装は、雨の中であろうと雪であろうと撮影しますから、破損なども気になりませんでした。ただ、羽織は着ておらず、背中に滅の字がある隊服だけを着た、鬼滅のキャラクターでいうと村田さんのスタイルでした。
冬であればコスが完成形で玄関から出ることが多いですが、夏場は暑いため、羽織は畳んで持って行くことが多いんです。もし羽織を着用していたら、羽織だけは脱いで走って行ったと思います。羽織は布面積が多く、燃え移る原因になりやすいですから」
ーー雷(ライ)さんもお怪我がなくて、本当によかったです。
「ありがとうございます。ですが、あの日の私は軽やかに行動し、X(旧:Twitter)でも称賛して頂きましたが、実際は心にかなりショックを受けたようで、火災の日から眠れなくなりました……。軽いPTSD、急性ストレス反応(障害)だと思います。大人の私ですらショックで眠れなくなっているぐらいですから、爆発と炎を目撃してショックを受けたそのお宅の小さな子供たちの心に、傷として残っているだろうことが辛いです。心のケアが出来ているのかだけが心配です……」
活動の原動力は…子供たちの笑顔と愛情
ーー現場で子供たちを抱きしめて落ち着かせていた、次女のまあさちゃんは当時のことをどんな風におっしゃってますか?
「『私が2歳と5歳の子を見てあげてたんだぁ☆ 2歳の子が少しでも手を離すと怖がってくっついてくるから、離れないように、大丈夫よって抱き締めてあげてたよ』と、教えてくれました。愛情深く育てている子なので、他の子供たちにも優しくて、私も信頼しています。自分の役割をちゃんとその場で理解していたと思いますし、そうやって自分がしたことを話してくれるので、責務を全う出来た、という誇らしい気持ちがあるようです」
ーー「よかeco面隊」のリーダーでもあるお母さん(雷(ライ)さん)の背中を、普段からよく見ていらっしゃるのでしょうね。
「未来を作る宝物である子供たちに、たくさんの笑顔と愛情をあげること……それが私がしているボランティア活動『よかeco面隊』の理念なんです。地域のイベントに参加して、子供たちを笑顔にしたくて活動しているので、子供たちが悲しい想いをすることは、私にとっては何よりも辛いです。
火災の時も、泣き叫ぶ2歳の子を最初に私が抱き締めました。大丈夫だよ、大丈夫、火は消したからもう大丈夫、と言って聞かせて泣き止ませ、うちの子に託しました。子供たちには、大人になっても子供たちに優しい大人になって欲しいと思います。私がその背を見せられたら、と願っています」