大手中学受験塾「四谷大塚」で男性講師の教え子盗撮事件、SNSで大きな波紋広がる 他の塾でも「懲戒解雇、逮捕があった」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

大手中学受験塾「四谷大塚」(本部・東京都中野区)の男性講師が女子児童の下半身を狙った盗撮動画などを撮り、住所や名前とともにSNSに投稿していたことが一部のメディアで報道され、四谷大塚は所属の塾講師(社員)が生徒を盗撮していた事実を認め「当該社員を10日付けで懲戒解雇処分にし、警察に通報した」とホームページで発表(13日)しました。今回中学受験を目指す子どもたちが集まる塾現場での性犯罪報道は、X(旧Twitter)上でも大きな波紋を呼んでいます。

「何度も警告しましたが間に合いませんでしたか…」とつぶやいたのは、給与明細買取屋さん(@kyuyokaitori)。フォロワーから給与明細を買い取って投稿しているXアカウントを運営しています。今年4月、性犯罪の前科持ち講師が多いという大手学習塾で人事をしている女性の給与明細を投稿し、「当塾には性犯罪の前科を持つ男性講師が多い。性犯罪するためにこの仕事してるのかも。親御さんは講師の名前が分かるのならネット検索は絶対にするようにとのことです」などと広く注意喚起をしていました。

また給与明細とともに掲載した女性へのインタビューによると、「採用したアルバイト講師が過去のニュース記事で性犯罪を報じられてるパターンが何件かあった」とのこと。今回報道された四谷大塚との関連は明らかにしていませんが、塾講師による性犯罪の報道があったため、あらためて注意喚起を含め投稿したといいます。

元大手塾のベテラン塾講師「性犯罪で逮捕・解雇された元講師が別の塾で指導も…雇用側は対応策を」

一方、「(四谷大塚は)全貌が解明するまで営業停止が当然だろう」などと投稿したのは、中学受験生を指導しているYuhさん(@yu65786)。過去に他の大手塾で働いていた経験もあるベテラン塾講師です。

今回の塾講師による性犯罪報道を目にして「言葉を失いました。今回の事件が特に悪質であると感じるのは、盗撮データを個人情報(顔写真・名前・住所・電話番号)とともにネットを通じて不特定多数の小児性愛者と共有し、誘拐や暴行をそそのかしたと報じられている点です。たとえ引越しをしようと苗字を変えようと恐怖は消えるものではなく、一生被害者を苦しめかねません」とYuhさん。

さらに、以前働いていたという大手塾でも「職員が数千人いる塾において管理職をしていましたので、未成年誘拐で逮捕された職員や未成年淫行で懲戒解雇になった職員の情報が耳に入ることがありました」といい、「そのうち何人かは今も都内の塾で指導をしています」と、性犯罪で逮捕・解雇された塾講師が別の塾で教えている実態があることを明らかにしました。

そこで、塾講師を雇う側や塾業界に対して、Yuhさんはこう警鐘を鳴らします。

「塾は雇用の際に、性別を問わず1対1の環境になることを禁止することや、褒める叱るを問わず決して生徒には触れないなど、モラル面での誓約を保証人を立てた上で取り交わすべきです。また、設備面においても、教室内の防犯カメラは必須でしょう。

また安全面においては、入口に警備員の配備、駅までの送迎、人数分の防災グッズ、AEDの配置などが挙げられます。中学受験塾は一般的に高額な月謝をいただいていますので、設備面に相応の投資をするのが責務です。そしてこういった対応を個々の企業に委ねるのではなく、全国学習塾協会がガイドラインを作成し、業界の標準化に努めるべきです」

性犯罪歴なしを証明「DBS」の制度化 学習塾の義務化対象外に疑問の声

また最近では、こうした子どもと接する職業につく人に対して性犯罪歴がないことの証明を求める仕組み「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の制度化を、政府が検討中。今年秋にも法案の提出を目指す方針ですが、学校や保育所、幼稚園など既に法律や規制のある業種に対して犯罪歴の確認を含む安全対策を義務化する方向で、学習塾やスポーツクラブなど既存の枠組みのない業種は義務化の対象から外れる見通し(※)といいます。

(※ただし、義務化の対象から外れた事業者であっても、犯罪歴の確認をするため就業希望者に証明書を求める取り組みなどを自主的に行う場合には認証を与えるような仕組みを検討中)

「個人の犯罪履歴などのデータベースを管理し、必要な証明書を提出するDBSに関しては、性犯罪者という不穏分子を排除できる、いわば『水際対策』として強い効力を発揮します。中学受験塾は長い時間を塾で過ごしますので、除外されるとなると業界の信用低下から今後の私立中受験率にも影響を与えかねません。これは子どもたちから多様な進路を奪うことと同義です」(Yuhさん)

SNSでは、DBSを子どもに関わる職につく人全てに義務化を徹底しなければ、任意のため制度を採用しない学習塾などに、犯罪を犯して学校や保育所などを追われた人たちが流れてしまうことを懸念する声も多数上がっています。また性犯罪の被害は子どもたちだけではなく、子どもたちの学力を上げようと真摯に向き合う塾講師も疑いの目で見られること。まずは、塾経営者側に性犯罪を防ぐための対応策が求められています。

このほか、Yuhさんの投稿にはこんな意見のリプライがありました。

「教員に限らず塾、教室etcでの性犯罪歴をデータベース化したうえで復職制限して欲しいですね...。」
「こんな講師を採用して個人情報も閲覧できる状態にしていた塾側にも責任があると思います。このような犯罪を犯した人は今後一切子供に関わる仕事につけないように、法整備をしてほしい。」
「授業に私的スマホを持ち込むのは教師もダメにすればいいだけだよな。後、教師が小児性愛者じゃないことを証明するために私的スマホの写真を上司が確認するとか何か対策しないとやばいよな。」
「犯人が1番悪いのは当然だが 再発防止策無しで営業はナシでしょう。人命にかかわるよこれ。」
「未必の故意に相当する事案ではないでしょうか。情報を晒された被害者の方々は警察等に届け出をして、然るべき措置を可及的速やかに講ずる必要があると思います。」

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