「次女の出産の時、帝王切開の立ち会いをした。当日、手術室に通されるとすでにオペは始まっていて、ちょっと覗き込もうとすれば何もかも全部見えちゃうくらい近かった。そっちを見ないように妻の顔以外を視界に入れないように必死だった。血の匂いと時折視界に入る血と内臓。妻が死なないか不安になってしまった。たぶん実物を見なければこんな不安は感じなかったと思う。先生達を信頼してるし実際無事に終わったのだけど、話に聞くだけと目の前でお腹を開いて赤ちゃんを取り出してるのを見るとでは何もかも違った。出産は命がけと言うがそれを強く実感した」
6歳と2歳の女の子を育てるくたまるさん(@chapikof)が、術中の描写や夫としての思いなどを綴った投稿には、驚きの声が寄せられました。
「私も帝王切開立会いましたが、楽なんて口が裂けても言えないし思わない」
「父親なのに出産を軽視する人もいるから、父親になる人は立ち会い出産した方がいい」
「主人も立ち会いましたが、チョキチョキと切る音が忘れられないそうです」
「立ち会ってくれていれば、パートナーの私や子供に対する接し方が違ったかも」
帝王切開手術に立ち会うことで、「よく帝王切開は楽だ、とか色々言われてるみたいだけど、そういう事を言う人は手術中の様子を見たことがないのではないかと思う。あれを見て"楽"という発想になれるならどうかしてる」と改めて感じたそう。
今回、ほかの人々に立ち会い出産をすすめるわけでも、ましてや立ち会うべきだ、などと言うつもりは毛頭なく、ただ、自分自身が感じた事、考えさせられた事を呟いたと話すくたまるさんに取材しました。
半身麻酔の妻の横で、顔面蒼白に
夫が帝王切開手術に立ち会えることに驚きの声もありましたが、くたまるさん自身、立ち会いについて妻の希望に沿うつもりだったそう。「立ち会ってと言われたので、それならばと思いましたが、正直に言ってあそこまで近くで手術を見ることになるとは想像できておらず…。子宮の中は…とても直視する勇気がもてませんでした」。
目の当たりにして、"一歩間違えれば死ぬ"という当たり前の事を突きつけられ、「帝王切開という出産方法については、これまで漠然としたイメージしか持っていませんでした。出産を経験できないからこそたくさん想像力を働かせて労って支えるつもりでしたが、実際に目の前で行われている手術は、直視すら出来ないほどに生々しくて…。半身麻酔の妻に“大丈夫?顔青いよ?w”と笑われたりしていました」と当時を振り返ります。
「当たりまえですが、人の腹を人の手で切り、その中の命を取り上げているんですよ。その当たり前を強く実感しましたし、先生や助産師、看護師の方々にこれまで以上に尊敬と感謝を感じるようになりました」。
「自然分娩、帝王切開どちらもしぬほど痛かったです。どちらも死を隣に感じた」
「報われます。あらー、お腹を切って産んだのー、と言った上から目線な発言に嫌な気持ちになった事があったので。カイザーは予後が辛い」
「救われた気がします1人目、緊急で手術が決まり、不安しかなかったのに、手術の説明を聞いてる途中で夫は倒れました」
投稿には、経験者からの生の声もたくさん寄せられ、くたまるさんは、「おつかれさまです。ありがとうございます」と敬う気持ちでいっぱいになったと言います。
「何よりも壮絶な体験の渦中で不安で心細いのは出産する本人です。どんなに不安でも嫌でも子どもを誕生させるには避けては通れないんですよね…。立ち会いするかしないかを迷う、なんて贅沢な事だと静かに思いました。乗り越えたママさん達はどの方もそれだけで尊くて立派なのだと改めて思います」。
無理強いはしないけど少しでも立ち会い出産に臨む旦那さんが増えて、出産という一大事に対する理解が深まってくれたら嬉しいと話すくたまるさんは、「妻の帝王切開手術の立ち会いは、自分にとっては壮絶な体験となりました。こうまでして必死に産まれてきてくれた子にも、命がけで産んでくれた妻にも、感謝しかありません」。
誰にでも母親がいて、その母は命懸けで子を産んでくれた、という当たり前の事を再認識させられましたとも話してくれました。帝王切開の出産にかかる時間は、手術時間が30分〜1時間と自然分娩に比べると短く感じるかもしれませんが、子宮の戻りが遅い傾向があり痛みが強く残る可能性も。また「無痛分娩」も含めて、出産・育児に関しては「楽」な方法なんてないことを忘れてはいけません。
■くたまる@chapikof