ツイッターユーザー「しゃー」さん(@wareyeknee)の投稿がSNS上で大きな話題になっています。
「東京在住の音楽好きを見ていると『今日夕方暇やな〜、おっ〇〇で〇〇のライブやってるやん、近いし行こうかな』みたいなムーブを本当にやっていて、文化資本の差というものをありありと感じている」(しゃーさん投稿から引用)
投稿は3万件を超える「いいね」を集め、ユーザーからは「わかる!」「これはまじでそう」「交通費ほんとに重たい」「地方はつらい」「田舎はガチで何もない」「音楽に限らない」「博物館も美術館も演劇もそう」「あらゆるジャンルで同じことが」「東京はほんとに天国」「東京がうらやましい」「私はそれで東京に住み始めました」「コロナでオンライン配信が増えてうれしかった」といった声が上がっています。
「演劇、美術、サブカル…共通の感覚のよう」
投稿者「しゃー」さんは、西日本在住の20代男性。趣味はバンドのライブに行くこと。特にお気に入りは「PK shampoo」。2018年結成の関西大学の音楽サークル出身4人組バンドで、「退廃的な雰囲気とは裏腹な、美しいメロディや歌詞が魅力です」(しゃーさん)。
さまざまなバンドのライブに参戦しますが、好きなバンドが地元までやってくるのは年に一度あるかないか。そうなると他の地域まで遠征することも。
「数千円のチケット代金の数倍の旅費がかかる上、好きなバンドにそのお金が還元されるわけでもありません。そう何度も行けるものでもなく、なかなかハードルが高いです。そんな中、仕事終わりに暇だったからとフランクに当日券でライブハウスに遊びに行く友人の投稿を見たんです。地方でも特にアクセスの悪い地域にいると、好きなバンドのライブに行くことが当日決まるなんてまずないので、衝撃を受けてツイートするに至りました」(しゃーさん)
しゃーさんはツイッター上での反響の大きさに驚いたといい、「東京と地方の文化的環境の格差という話題は特段、目新しいトピックではないと思うので、想像以上の反応の多さにびっくりしました。音楽ライブに限らず、お芝居、美術、博物館、サブカルチャー、文化と名の付くもの全てにおいて共通の感覚のようでした」。
「地方ではなかなかライブに行けない環境だからこそ、享受出来る特別感や高揚感を感じるのも大好き」という反応に共感したというしゃーさん。しかし中には「自然も立派な文化資本ではないか」といった指摘もあったそう。
「これは都会に住んでいるからこそ言える言葉ではないかなと思います。美術館にふらっと自転車で行ける都心で生まれ育った子と、前の週から計画しないと行けない環境で育つ子が享受できる文化や機会には決定的な差があります。もちろん本人の行動力次第である程度カバーできるかもしれません。しかしそうやって能動性でふるいにかけられる時点で、やっぱり差がありますし、そもそも田舎の子に『美術館に行く』という選択肢が生まれ得ないのが問題だと思います。これは誰が悪いとかではなく、構造的な問題ですし、この偏重は加速していくのではないかとも思いました」(しゃーさん)
「ローカルな公演、増えづらい傾向」
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会が調査した「ライブ市場調査 年別基礎調査報告書 2022年」によると、2022年1〜12月に全国で開催されたライブの公演数は3万2338本(調査対象は会員74社。オンライン含む)。
都道府県別で見ると、上位は東京1万953、大阪5538、愛知2356、神奈川1842、福岡1454。一方、年間50本以下だったのは、宮崎49、佐賀48、島根46、鳥取36、徳島36でした。
同協会は報告書の中で、「関東エリアの公演数、動員数、市場規模は、コロナ禍前の2019年の数値を大きく超えました。関西、東海エリアもコロナ禍前とほぼ同水準です。一方で、コロナ禍前と大きな差が残るエリアが少なくありません。コロナ禍以降はあらゆるエリアで、もともと公演の多い中核都市の公演が増加し、それ以外のローカルな公演が増えづらい傾向が続いています」と説明しています。