毎年、夏になると勃発する「そうめんの茹で方」論争。フライパンや大鍋でお湯を沸かし、火を切って予熱で調理する”蒸らし茹で”、耐熱容器に熱湯を注いで、一度ほぐした後に電子レンジで加熱する”電子レンジ茹で”…など、火で”茹でない”新説が次々と出てきます。
暑いなかコンロなどの火の使用時間を短くすることで台所の室温が高くなるのを防げる、ふきこぼす心配がないといったメリットに加え、食感などの好みもあるようです。その一方で、「商品パッケージに書いてある茹で方がベスト」という意見も。
果たして、おいしいそうめんの茹で方とは? 7月7日そうめんの日に合わせ、そうめんの総本山・奈良県桜井市にある奈良県三輪素麺工業協同組合(以下、三輪素麺組合で表記)に取材しました。
そうめんをおいしいと思えたら、それで良し!
およそ1300年前に、奈良県桜井市を中心にした三輪地域で生産が始まったとされているそうめん。伝統の技に磨きをかける約60名の製造者が属する三輪素麺組合の担当者は、ネットなどで話題の”火で茹でない”調理法を試したことがなく、この取材を機に2分茹でで案内している同組合商品『三輪の誉』を5分放置茹でで食べてみたそう。担当者は「おいしくいただけました」。さらに、「この商品は、2分茹ででも5分放置茹ででもおいしくお召し上がりいただけると思います」とコメント。
そうめんにはさまざまな種類や細さがあるので、種類によって茹で時間に若干の違いはあります。製造者として、それぞれのそうめんのおいしい茹で時間を設定していますが、担当者は「ご家庭で、おいしくなる調理法を見つけたのならそれも良いと思います。お好きな調理法で、おいしく食べて、そうめんを愛し続ける。製造者としては、それがいちばんの喜びです」と語ってくれました。
おいしい茹で方、時間が経ってかたまったときは?
そんな、三輪素麺組合が、おいしい茹で方として推奨しているのは、「たっぷりのお湯で素早く茹でて、しっかり洗う」。同組合のサイトでは動画紹介しています。
【おいしいそうめんの茹で方】
1:そうめん1束(50g)に対し、水3カップ(600ml)を目安にして、大きな鍋で水を沸騰させる。
2:沸騰後、そうめんを放射線状に広げるようにいれて、箸で軽くかき混ぜる。ただし、かき混ぜすぎると、そうめんの表面に傷が付くのでかき混ぜすぎない。
3:お湯がふきこぼれないように、火力を調節しながら約1分半茹でる。
4:茹で上がったら、ざるにそうめんをあげ、冷たい流水でよく洗う。その際、そうめんを軽く揉み洗いする。揉み洗いすることで、ぬめりが取れ、そうめんにツヤとコシが出る。
大きな鍋で短時間でそうめんが流動するように茹でること、冷水を流しながら揉み洗いすることがポイント。また、ゆで湯の温度が下がらないように、さし水は行わず、火を弱めてふきこぼれないようにするのもおいしく仕上げるコツです。
調理後すぐに食べるのがいちばんですが、時間を置く場合はしっかり水を切ってラップをして冷蔵庫へ。「時間が経つと固まってしまいますが、食べる前に冷水をかけてほぐせば、簡単にほぐれます。ラップ前に、ひと箸分ずつまとめると、そのままそうめんつゆにつけていただけます」と同組合担当者。「三輪素麺は茹でのびしにくく、少々時間が経ってもおいしくお召し上がりいただけるのが特徴です」と話してくれました。
三輪素麺組合のサイトでは、歴史や豆知識の他にも、冷やしそうめん、そうみんチャンプル、月見おろし、豚しゃぶちらしなどのレシピを公開。おいしく茹でて、さまざまな食べ方で、そうめんを楽しめそうです。
■奈良県三輪素麺工業協同組合 https://www.miwasoumen-kumiai.com