たむろする高校生を不審に思って見ると…真ん中に弱った子猫が! 連れ帰ってケアしたらツヤツヤの美猫に!→飼い主の人生も一変

渡辺 陽 渡辺 陽

スーパーの宝くじ売り場にいた猫

紬ちゃん(3歳・メス)は、生後1カ月の時に保護された。

2019年8月16日の夜、神奈川県在住の馴田さんは近所のスーパーまで買い物に出かけた。台風が神奈川に来る直前だった。買い物を終えて店を出ると、宝くじ売り場の前に高校生くらいの子供たちがたむろしていた。

「『何をやっているんだろう?』とのぞき込んだら、とってもとっても小さい子猫に餌をあげていました。もともと猫が大好きなのですごく気になったのですが、荷物も多く、雨が降ってきたので、一旦そのまま家に帰りました」

その頃、馴田さんは仕事が忙しく、猫を迎える余裕もあまりなかった。しかし、家に帰った瞬間に「とにかく早く子猫がいた場所に戻らなきゃ!」という気持ちでいっぱいに。急いで荷物を置いて、タオルと大きめのバッグを手に持ち、雨の中またスーパーへ戻ったという。

「子供たちはもういませんでしたが、宝くじ売り場の裏に、1匹で震えている紬がいました。私はすぐにタオルで小さな紬を包み込みました。後にも先にも紬が私に“シャー”と言ったのはこの時だけでした(笑)」

馴田さんは、紬ちゃんをバッグの中に入れた。

馴田さん以外にも、4人家族が紬ちゃんのことを遠くから見ていたらしく、馴田さんが紬ちゃんをバッグに入れた後に「その子、連れて帰ってくれるんですか?」と声をかけてきた。

「そのご家族も保護することを考えていたらしいのですが、お子さんたちがまだ小さく、子猫の面倒を見られるかどうか悩まれていました。でも、誰も拾わなければ拾おうか…と考えていらっしゃったのです。『この子は私が責任を持って家族に迎えるので安心してください!!』とお伝えし、こうなる運命だった!くらいの勢いで、そのまま紬と家族になりました」

手入れをしたらツヤツヤの美猫に

紬ちゃんは、一目見て栄養失調だとわかるくらいお腹だけが膨れていて、体も汚れ、ノミがたくさんついていた。すぐにお風呂に入れたが、ノミのフンなどの影響もあり、真っ赤な水があふれた。馴田さんは、「とても心苦しかった」と振り返る。

お風呂に入ってごはんを食べると、紬ちゃんはとても元気になった。
「初日から家を走り回っていました(笑)。夜だったので猫グッズを買うことができず、即席の段ボールに園芸用の土を入れたトイレを作り、タオルを敷き詰めた大きな収納ボックスの中で一晩過ごしてもらいました」

翌日、動物病院に行き、色々処置をしてもらうと、2〜3日でツヤツヤ健康で元気な子猫に変身した。馴田さんにはお気に入りのアニメのキャラクターがいた。そのキャラクターと同じ紬という名前にしたそうだ。

猫を迎えて、本当にいいことばかり!

紬ちゃんは、馴田さんの言葉を全て理解しているのではないかと思うくらい賢い。名前を呼ぶとすぐに来てくれるし、「それやっちゃダメ!」と言うと、もうしなくなる。ただ、馴田さんの気を引くために行う迷惑行為がある。馴田さんが寝ていたり、仕事をしていたりして構わないことがあると、飾ってあるフィギュアや植物などを手でちょいちょい動かして落とすという。

「物を落とすと私が駆け寄ってくることを理解しているので、自分を見て欲しい時には必ず何かを落とす、という行為をします(笑)」

2匹目のれんげくんとは、2019年10月24日、紬ちゃんのごはんを買いに行ったペットショップで出会ったそうだ。

「ペットショップからお迎えすることは全く考えたこともなかったのですが、お店の方がゲージを開けた瞬間飛び出してしまい、私のところにジャンプしてきまして…直感的に『紬の弟だ』と感じ、そのまま家族になってもらいました」

馴田さんは、紬ちゃんと出会ってから、何もかもがいい方向に変わったと思うという。

「まず何よりも、生きる目的がこの子達になりました。仕事も、猫たちともっと一緒に過ごしたい、と思うようになってから転職したのですが、収入も休みも増え、すごく効率よく働けるようになりました。食生活やプライベートも、今まで1人だと適当だった部分が改善されたと感じます。“猫ファースト”と思ってやっていることが、実は自分にとってもすごくいい習慣になっているな〜と感じることが多いです」

独りじゃない、守るべき存在がいる、ということは本当に人を成長させてくれる。馴田さんは、周りへの感謝の気持ちや自分以外の存在への有難さを以前にも増して感じるようになったという。

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