みなさんは、「それって古いなあ」と感じる仕事の価値観といえば、なにを思い浮かべますか。IT・広告・コンサルティング業などの知的サービス業に従事する18歳~29歳のZ世代906人を対象に、古いと感じる「仕事に関する価値観」について調査をしたところ、8割以上が「上司より先に帰ってはいけないという暗黙のルール」を挙げたことが分かりました。
クラウドERP『ZAC』を提供する株式会社オロ(東京都目黒区)が、2023年3月に「Z世代の『残業時間』に関する実態調査2023」と題して実施した調査です。
まず、就職・転職先を考える際に、新しい職場での残業の有無を気にするかどうか聞いたところ、82.3%が「気にする」(とても気にする43.3%、少し気にする:39.0%)と回答。残業の有無を気にする理由としてダントツに多かったのが、「プライベートの時間が減ってしまうから」(77.4%)でした。
次に、残業時間が多いか少ないか聞いたところ、「多い」は25.9%、「少ない」は44.3%、「どちらでもない」は29.8%という結果になりました。また、残業がない、もしくは少ない分、自由な時間を何に使っているか教えてもらったところ、「趣味」(66.0%)、「睡眠・休息」(61.2%)、「家族や恋人と過ごす」(42.0%)といった回答が上位となりました。
続いて、残業の削減対策として会社でどんな取り組みをしているか聞いたところ、「実労働時間の把握」(40.8%)、「休日労働した場合の代休の付与」(31.5%)、「ノー残業デー、プレミアムフライデー等の導入」(21.9%)などの取り組みをしていると回答。また、個人として早く帰宅できるよう実践していることを教えてもらったところ、「仕事の優先順位をつける」(55.3%)、「スケジュール管理を徹底する」(33.6%)、「できない仕事は断る」(21.4%)といった回答が上位に挙がるなど、ワークライフバランスを保つために、様々な工夫をしながら、仕事は全力でやりたいと考えていることがうかがえたそうです。
さらに、残業規制に対してどのように感じているか、「そう思う」「そう思わない」「どちらでもない」の3択で聞いたところ、「そう思う」の割合が多かった項目は「仕事とプライベートのメリハリがつく」(66.1%)、「時間管理の意識が高まる」(62.8%)、「家族や友人が安心する」(60.3%)などが挙がりました。一方で、「残業しないとやる気がないように思われそう」(59.5%)、「企業としての競争力が損なわれる」(59.3%)、「社員の成長スピードが落ちる」(54.9%)といった項目は、「そう思わない」の割合が多い結果となりました。
最後に、古いと思う「仕事に関する価値観」を聞いたところ、最も多かった回答は「上司より先に帰ってはいけないという暗黙のルール」(82.8%)でした。2番目に多かったのが「新人は誰よりも早く来て、誰よりも遅く帰る」(79.9%)、3番目は「残業時間は長い人ほど頑張っている」(71.7%)となりました。
そのほかに、「仕事のためなら残業も、土日出勤もいとわない」(69.8%)、「大事なプレゼンの前は朝まで徹夜する」(69.6%)、「プライベートが充実している人は仕事をさぼっている」(69.3%)、「フレックス制でも朝10時以降に出社する人は怠惰だ」(66.7%)、「プライベートより仕事が重要」(62.5%)、「長時間(1時間以上)の会議や打ち合せは、やって当然」(60.5%)、「会社のために全力で働く」(49.7%)なども、Z世代の多くが「古い価値観」だと感じているそうです。
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調査を行った同社は、「Z世代は『効率を重視する』『意味のない前例踏襲は避ける』傾向にあることが分かった」と分析。そして、「Z世代は、個人の成長は業務時間の長さに比例するのではなく、業務の密度に比例すると考えており、『働く時間(量)より質』を大切にしていると言えそうだ」と述べています。