「日本はトイレがきれい!」。海外生活20年の筆者が日本に一時帰国したときに真っ先に思うことです。行く先々で清潔なトイレがあり、ウォシュレットや自動でふたが開く便座など、日本は本当にトイレ先進国。東南アジアなどに旅行すると、便座がないトイレなど、なかなかハードルが高いトイレにも遭遇します。では筆者が現在住んでいる台湾ではーー。台湾のトイレ事情をお伝えします。
下水管が細く、紙を流さない習慣も
台湾の街なかでは、デパートなどで無料のトイレが使用できます。
筆者が台北に移住した2013年ごろは、トイレを使おうとして、その汚さに入るのをあきらめることもありました。しかしこの10年で台北のトイレ事情は改善しており、使うのを躊躇するような場所はほとんどなくなりました。
特に進歩したのがMRT(地下鉄)の駅のトイレです。
どの駅にも広めのトイレが設置されており、かなりの頻度で清掃が入ります。台北市内の駅では、トイレが改札の外にある場合と内側にある場合がありますが、電車に乗らないときでも駅員さんにひと声かけると、改札の内側のトイレを無料で使わせてくれることが多いです。台北の旅行中にトイレに困ったら、まずMRTの駅に行けば問題ないでしょう。
しかし、日本人が慣れないのが、便座の横に設置されている大きなゴミ箱です。
サニタリーボックスサイズではなく、ふたのない大きなゴミ箱で、使用済みトイレットペーパーがたくさん捨てられています。台湾は下水管が細い場所が多く、紙を流すと詰まってしまう恐れがあるため、流さずにゴミ箱に捨てる習慣があります。最近では衛生面のために水に流すよう注意書きがあるトイレが多く、実際に流しても大丈夫なのですが、まだまだ習慣的にゴミ箱に捨てる方が多いようです。
そして台湾では、便座に直接座ることを嫌がる方が多く、便座の上に土足で乗りしゃがむ、または中腰で用を足す方がいると聞きます。
筆者もトイレに入ったとき、便座にくっきりと足跡がついていたり、得体の知れない液体で便座が汚れていたりするのを何度か見たことがあります。日本人からすると気分のいいものではありません。そんな場面に遭遇したときは、便座をしっかりと拭き、さらにトイレットペーパーで即席の便座カバーを作って使用しました。
以前、英語圏に住んでいたときに「土足で便座に乗らないで!」という注意書きを見たことがあり、一体、誰がそんなことをするんだ…と不思議でした。しかし台湾に来て初めて、中華圏では珍しくないことだと知り、注意書きがあった理由を時間差で納得しました。
コロナの影響で、2020年以降はほとんどの施設やトイレの個室内にアルコール消毒が設置されるようになりました。現在でも、個室内にアルコール消毒が残る場所は多く、汚れがあるときは非常に助かっています。
これから台湾旅行を計画されている方は、台湾ではトイレットペーパーをゴミ箱に捨てる習慣があること、日本ほどきれいではないことをまず頭に置いておくといいかもしれません。ちなみにウォシュレットは高級ホテルなどでしか見かけません。日本のトイレの清潔さは、桁違いです!