管理職の出世に英語は不可欠 ジョブ・ディスクリプションへのシビアな考え方 外資銀行と外資保険で働いて痛感したこと

DJ Nobby DJ Nobby

経済産業省がリスキリングや転職を支援する制度を2023年度中に創設することを表明するなど、転職へのハードルが大きく下がってきました。今は日本企業で働いているものの、将来一度は外資系企業に転職してキャリアアップを図りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

外資系と聞いて思い浮かべるイメージはどんなものでしょうか。

多くの人は「実績主義」「結果が出ないと即クビ」など厳しいイメージを描くと思います。一方、高収入でワークライフバランスへの配慮が行き届いている、海外で働けるなど好待遇を想像する方もいるのではと思います。

筆者は新卒で外資銀行に就職し、その後取引所、外資保険2社を経験しました。筆者の経験を踏まえ、外資系企業で働くにあたって知っておいた方が良いこと、そして心配しなくてもいいことをお伝えしたいと思います。

日系企業と外資系企業には事業の性質上、根本的な違いがあります。その違いを理解していないと、せっかく転職してもミスマッチが起きてしまう可能性があります。まずはその「日系と外資の根本的な違い」についてポイントを説明します。

日本採用社員は評価されにくい?

まず、押さえておきたいのは、日本人が外資系企業に採用される際ほとんどの場合は現地採用社員扱いという点です。

想像してください。海外展開している日本企業が進出先の国の人を現地で採用したとします。その社員が必死に仕事を頑張ったとして、日本本社で採用された人材と同等に評価されるでしょうか。現実にはそこに明確なヒエラルキーが存在します。

もちろんこれは会社の規模や業種、人事方針によって大きく変わることですが、会社全体で見ると現地採用社員の評価や待遇は本社に比べ良くないことは理解しておくべきです。

私が過去に所属した外資系企業は、本社採用社員と現地採用社員は給与テーブルや人事が明確に区別されているケースもありました。そのような背景から、日本で採用された社員が海外に派遣されることは少なく、クリアするべきハードルも本社社員より高かったのです。

頑張りがストレートに評価され、海外で働く希望が通りやすいという意味では、風通しの良い日本企業で働く方が近道かもしれません。もちろん海外で大学を卒業した日本人が現地採用されて日本に派遣されるケースもありますが、稀な存在といえるでしょう。

ジョブ・ディスクリプションは単なる「業務範囲」にあらず

二つめの根本的な違いは、外資系企業では仕事範囲が明確に決まっているということです。採用の際には明確な業務責任範囲が提示され、その範囲内の仕事については全責任を負うこととなります。

「そんなことは知ってる。ジョブ・ディスクリプションのことでしょう?」と思われたあなたこそ要注意。ジョブ・ディスクリプションの示すものは、「この仕事を完璧に遂行して当たり前」という責任範囲なのです。出世を目指すのであれば、ジョブ・ディスクリプションの範囲を超えて課題を発見し、他チームを巻き込んで課題を解決した上で、それをあなたの実績と認めてもらう必要があるのです。

ジョブ・ディスクリプションの範囲だけで仕事をしている限りはどんどん評価が下がり、最終的には組織にとって不要な人材という烙印を押されてしまうかもしれません。

日系企業との共通点も

あまり心配しなくていいこともあります。それは外資系企業であろうとも働いているのは日本人が大多数である、ということです。

日本に数人しか社員がいないという場合は様子が異なるかもしれませんが、日本である程度の規模の事業を展開している外資系企業の場合、マネジメント層に本社採用社員が入っている程度で、組織のほとんどは現地採用の日本人で構成されています。

そのため、本社とのメールや電話会議を除いて、業務中のコミュニケーションは基本的に日本語です。私が経験した範囲では採用時に高い英語力が求められたり、日常業務に英語が求められる部署はごく稀でした。

少し意外かもしれませんが外資系企業であっても「英語で業務遂行ができる」というだけで昇進が速まるケースもあります。特に管理職以上の出世競争において英語が話せることはかなり有利に働く場合が多いです。

日本人が多いので人間関係についてもある程度「あうんの呼吸」が通じます。外資系企業だからといってコミュニケーションの仕方が全然違う、ということはあまりないでしょう。そして、日本人同士だからこその腹の読み合いや遠慮、ゴマすりなども存在します。

評価体系や求められる成果は厳しい一方で、好待遇な場合が多く日本人同士で働く安心感もある外資系企業。会社によって大きく文化は異なるものの、厳しい評価に晒されてることで能力を磨かれるのも事実です。次の転職の機会には外資系企業も選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。

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