株式会社GAROO(東京都渋谷区)は、全国の自治体関係者507人および地域おこし協力隊経験者(現在働いている人も含む)533人を対象に、「自治体の地域おこし」に関する調査を実施しました。その結果、地域おこし協力隊経験者の7割強が「地域に貢献できた(できている)と思う」と回答しました。一方、地域おこし協力隊の課題について、自治体関係者の4割弱が「一時的なもので持続的解決にならない」と答えたそうです。
調査は、2023年1月~2月の期間にインターネットで実施されました。
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2009年度に開始された「地域おこし協力隊」とは、都市部で暮らす人が人口減少や高齢化などの進行が著しい地方へ移り住み、地域力の維持・強化、そしてその地域への移住・定住を図るためにPR活動や地域活性化のサポートを行っていくという取り組みです。政府は2024年度には隊員数を8000人に増やすという目標を掲げています。
まず、地域おこし協力隊経験者(現在働いている人も含む)の533人に対して、「地域おこし協力隊として地域に貢献できた(できている)と思いますか」と質問したところ、「貢献できたと思う」と答えた人は75.6%(とてもそう思う:19.9%・ややそう思う:55.7%)、「貢献できたとは思わない」と答えた人は24.4%(あまりそう思わない:19.7%・まったくそう思わない:4.7%)となりました。
それぞれの回答理由について、「貢献できたと思う」と答えた人からは、「地域の皆さんが喜んでくれたから」(20代男性)、「イベント開催により集客出来たので」(40代男性)、「地域の結束ができた」(30代男性)といった回答が寄せられました。
一方、「貢献できたとは思わない」と答えた人からは、「自発的に行動しなかったから」(30代女性)、「具体的な成果が出なかった」(50代男性)、「不定期で軽く手伝っている程度のため」(20代男性)、「長続きしなかったため」(40代男性)といった回答が寄せられました。
さらに、「地域おこし協力隊に参加してみてスキル不足を感じた経験」について聞いたところ、73.9%の人が「スキル不足を感じた経験がある」(とてもある:19.9%・ややある:54.0%)と回答。
「スキル不足を感じた経験がある」と答えた394人に対して、「不足しているスキル」を複数回答可で答えてもらったところ、「事業の企画力」(45.9%)、「コミュニケーション能力」(45.4%)、「農業や水産業に関する知識」(33.3%)などが上位に挙げられました。
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次に、自治体関係者507人に対して、「自身の自治体で地域おこし協力隊の受け入れは行っていますか」と質問したところ、「行っている」と答えた人は43.0%、「行っていない」と答えた人は57.0%という結果になりました。
さらに、「現在受け入れを行っていない」と答えた289人に対して、「地域おこし協力隊に協力してほしいことはありますか」と聞いたところ、27.0%の人が「ある」(かなりある:3.1%・ややある:23.9%)と答えています。
また、「地域おこし協力隊に協力してほしいことがある」と答えた78人に、「協力してほしいこと(課題)」を複数回答可で答えてもらったところ、「地域ブランドや地場産品の開発・販売」(53.9%)、「地域のPR」(48.7%)、「住民支援」(37.2%)などが上位に並びました。
他方、「地域おこし協力隊の受け入れを行っている」と答えた218人に対して、「地域おこし協力隊を受け入れて良かったと思うこと」複数回答可で答えてもらったところ、「地域のPRになった」(43.6%)、「地域に活気が戻った」(40.8%)、「新たな地域の魅力が発見された」(28.0%)などが上位に挙げられました。
その一方で、「地域おこし協力隊に感じた課題」についても複数回答可で聞いたところ、「一時的なもので持続的解決にならない」(36.7%)、「具体的なミッションが見つかりにくい」(28.4%)、「隊員のイメージした活動と実際の活動にズレがある」(28.0%)といった回答が挙げられています。
地域おこし協力隊を受け入れて良かったことはあるものの、さまざまな課題を感じている自治体関係者が多いことが分かりました。そこで、「地域おこし協力隊に求めるスキル」を複数回答可で答えてもらったところ、「コミュニケーション能力」(66.1%)、「事業の企画力」(52.3%)、「パソコンやSNSの基本的な操作」(47.3%)といった回答が上位に挙げられ、地域おこし協力隊経験者が回答した「不足しているスキル」で2番目に多かった「コミュニケーション能力」が、自治体関係者では最も多い結果となりました。