小4から古墳に夢中…理想のガイドブックを! 中学1年生が100古墳セレクトして自費出版、学芸員も絶賛する内容は

山陽新聞社 山陽新聞社

 古墳愛の詰まったガイドブックを岡山大付属中1年板東郁仁さん(12)=岡山市=が自費出版した。これまでに訪れた岡山県内約900基の古墳から厳選しており、タイトルは「岡山100名墳」。初心者にも分かりやすく、墳丘の美しさやレア度などを5段階で示している。板東さんは「本を片手に古墳を訪ねて古代吉備の魅力に触れてほしい」と話している。

 板東さんは小学4年生の時、サイクリング中に全長150メートルもある前方後円墳・神宮寺山古墳(同市)に偶然出合ったことから古墳に興味を持った。魅力にどっぷりとはまり、休日は家族と県内外の古墳を巡り、全国規模の愛好者団体「古墳にコーフン協会」に所属。昨秋始まった真庭市・荒木山西塚古墳の発掘調査にも参加している。

 ガイドブック製作は5年生から。毎年手書きで作っている「古墳新聞」の記事のため交流サイト(SNS)でアンケートを取り、多くの人が「古墳巡りのガイドブックやマップがほしい」と望んでいると知った。「バラエティー豊かな岡山の古墳を知ってもらうため、自分で作ろうと思い立った」

初心者にお薦めは造山古墳や吉備の三大巨石墳

 約1年半かけて完成した本は、巨大前方後円墳から小さな円墳まで地域別に掲載。全国4番目の規模を誇る造山古墳(岡山市)や、ピラミッド状に石積みした大谷1号墳(真庭市)、池に半分沈み、水面に映る姿が美しい戸瀬池古墳(和気町)などを、基礎データと豊富な写真で紹介する。中でも初心者には「まず造山や千足古墳に行ってほしい。石室の大きさを体感したいなら吉備の三大巨石墳(こうもり塚、牟佐大塚、箭田大塚古墳)がいい」と薦める。

 板東さんがよく通う倉敷考古館(倉敷市)の伴祐子学芸員は「訪れた古墳の多さも驚きだが、さらに丹念に一基一基を調べ上げており感心する。心から楽しんで巡っていることが伝わり、実際に行ってみたくなる一冊になっている」と称賛する。

 夢は考古学者になり、古墳の謎を解明することという板東さん。「古墳は昔の人が残してくれたタイムカプセル。どんな思いでつくったのか想像するとわくわくする」と言う。「これからも魅力を発信し続け、小さな子どもにも分かりやすい本をまた出したい」と意気込んでいる。

 A5判162ページ、2200円。200部作り、郁文堂書店庭瀬店(岡山市)、喜久屋書店倉敷店(倉敷市)などで販売中。

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