台湾の離島の中でも特にアクセスが難しく、秘島として知られる蘭嶼(らんゆい、らんゆーとも)。フィリピン系の先住民・タオ族が暮らす島で、かなりの台湾マニアでもアクセスの困難さからそう簡単には訪れることができない島です。
この秘島を2021年に旅した、加賀ま波さんという台湾ファンは、滞在中、港近くで仲良く過ごす2頭のワンコの写真を撮影しました。
この写真は、後にポストカードにし、ま波さんが出店する台湾関連のイベントで出会った人に無料でプレゼントしていましたが、たまたまこのポストカードを手にしたのが、別の台湾ファンの安村美佐子さん。安村さんはポストカードに写る2頭のワンコの様子を見てハッとしました。
「このワンコ知ってる!」
キラキラの眼差しで海を眺めていた2頭のワンコ
ま波さんの蘭嶼渡航前の2019年、安村さんは蘭嶼を訪れており、偶然にもこの2頭のワンコがまだ小さかった頃の写真を撮影していたというのです。
蘭嶼という秘島で、面識がなかった別々の旅行者が時差をおいて同じ2頭のワンコを撮影していたという事実に、ま波さんも安村さんもビックリ。すぐに意気投合し、これをきっかけに友達になりました。2人はそれぞれ、この2頭のワンコをこう回顧します。
「蘭嶼を滞在後、帰りの船の出航時刻を誤ってしまい、急きょ1泊延泊することになりました。実はこの2頭のワンコ、延泊した最終日に出会い、2頭とも仲良く過ごしていました。美しい海と空の色に相まって、2頭が楽しそうに、そしてキラキラした眼差しで海を眺めていたのが印象的で、その写真を撮影しました。台湾旅行の写真でも特にお気に入りだったので、ポストカードにしたのですが、これをきっかけに安村さんとお知り合いになれるとは……蘭嶼のワンコがつないでくれた不思議なご縁に、心の奥が熱くなりました」(ま波さん)
「蘭嶼は、秘境のイメージがあり、なかなか足を運ぶことができませんでした。しかし、2019年に友人の映画監督が現地で撮影をしていたため、陣中見舞いも兼ねて訪れることにしました。島は暑く、疲れて海辺で休んでいたところ、海辺でまだ小さい2頭のワンコがお互いジャレあっていました。あまりにかわいかったので写真に写したところ、たまたま出会ったま波さんも同じ2頭を撮影されており、いただいたポストカードを見て驚きました。そして、私が撮影してから2年経過していることで、ワンコ2頭が成長している様子にも嬉しくなり、そして私が見たときと同じ様子で2頭は仲良く蘭嶼の海辺で過ごしていることを知り感動しました。いつかまた蘭嶼を訪れ、この2頭に会えたら良いなと思っています」(安村さん)
秘島・蘭嶼と2頭のワンコがパワーを与えてくれたのかも
台湾の秘島の美しい海辺で、今日もあの2頭のワンコが仲良く過ごしていることを想像すると妙に和みます。そして、この2頭のワンコが、遠く離れた日本の、面識がなかった者同士をつなげるという不思議な縁も感動的です。台湾本島から離れた遠い島・蘭嶼、そして2頭のワンコは、人智では言い表すことができない不思議なパワーを訪れる人に与えてくれたのかもしれませんね。