漫画家の桜田さん(@sakurada_07)がTwitterに公開された絵日記漫画に注目が集まりました。テーマは「出会い系アプリ」。
2019年、漫画の資料として、ある出会い系っぽいアプリをスマホにインストールした桜田さん。いろいろと参考にしたいところを調べて、さあアプリを削除しようとした時、ちょっとしたいたずらを思い付きました。
当時、まだこの手のアプリは、身分証の確認が必要ないものが多く、無法地帯のような状態だっといいます。実際、タイムラインには業者らしきサクラっぽいものや、明らかに性欲丸出しなメッセージが多く、さらに汚い言葉を使ってケンカをしている人たちもいて、とても治安が悪い状況でした。
「ここに足りないのは、そう!愛!愛と言えばおばあちゃん!!」
桜田さんはそんな独自の解釈で、おばあちゃんとしてメンバーに参加することに。かといって、自分の本当のおばあちゃんの写真を出したり、おばあちゃんのフリー画像を用いたりするのは気が引ける…。そこで、わざわざ自分でおばあちゃんのイラストを描き、プロフィール画像にしました。
桜田さんが「なりすまし」たおばあちゃんは、すぐに大人気に。
皆のメッセージに、“無償の愛”で応えてゆく桜田さん。しかし――、
『きもい、ババアしね』
などと、心ない声を投げかけてくる人も。
そんな人にも、桜田さんは「でもきっと、この子も本当は、良い子なのよ」と、慈愛のまなざしをもって返信をします。
『ごめんね、おばあちゃん、
おしゃべり、したかったの
嫌なこと、あったら、温かい
飲み物を飲んで、無理しないでね』
すると相手から、『おばあちゃん、ごめんなさい』とリプが。
ほとんど無法地帯だったアプリ。ですが、突如救世主のごとく現れたおばあの力によって、皆からトゲが抜けてゆくのでした。
『なんかばあちゃんの作った飯食いたくなってきた』
『久しぶりにおばあちゃんに電話しよっかな』
以降もそんなメッセージが続き、タイムラインがとても平和になりましたとさ――。
というような、桜田さんの実録漫画。リプ欄にも「ほっこりした」という声が続出。
「おばあちゃんで平和になる世界」
「みんなかわいいかよ」
「愛こそすべてだな」
「リプまで平和にするおばあちゃんすごい笑」
「戦場に咲く一輪の花やん」
「読点とカタカナの使い方がリアルでおばあちゃんっぽい」
「面白いし、心がほぐれました」
「今は亡きおばあちゃん直伝のレシピの料理つくりたくなりました」
「これ、AIで優しいおばあちゃん画像生成して運用したら、世の中良くなるんじゃないか??」
桜田さんに聞きました。
――もともとアプリは作品の資料として使用されたとのことですが、どのようなところを参考にされたのですか?
桜田さん:連載中の漫画で出会い系アプリを扱う回があり、現場を知っておこうとマッチングアプリから無法地帯出会い系アプリまでいろいろ見てみました。主に画面ややり取りの仕方を参考にしました。
――アプリ上で、ご自身が特に印象に残ったコメントなどありましたら教えてください。
桜田さん:みんなガチおばあちゃんではないと気づきつつも、ごっこ遊びを楽しんでおり、みんな優しくてホッコリしました。ゴリゴリにイカついヤンキーの男の子が何回も優しくおばあちゃんの身体を気遣うリプをくれて、やっぱヤンキーは老人に優しいんだと確認できたのが印象に残っています。
――本物のおばあちゃんでなかったことは、皆さんお気づきだったのですね。にもかかわらず、おばあちゃんになりきったのは?
桜田さん:『ドラえもん』に登場するのび太のおばあちゃんしかり、おばあちゃんという概念は全てを優しく包み込む“無償の愛の象徴”というイメージがあったからです。
「みなさんも子どもの頃におばあちゃんが自分のためにしてくれたのに、なんだか気に入らなくて拒否してしまった…という小さい引っ掻き傷が心にありませんか?でもおばあちゃん自身は気にしてないしなんなら忘れてる――その器のデカさ、最強の概念。そんなおばあちゃんなら、この殺伐としたアプリの空気をぶち壊してくれると思いました」
桜田さんはおばあちゃんになりきった理由について、このように話されました。
そんな桜田さん、「えっちめな漫画」の制作を中心に活動されているとのことです。現在、“タブー視されがちだけど生きる上で大切な"性"の疑問や不思議を実際に体験して検証してみるレポ漫画”、『桜田の××レポ』をゲネシスより発売中。
さらに今年中には、今回の出会い系アプリを題材にした話も収録した、『桜田の××レポ2』が発売予定とのことです。
■桜田さんのTwitter(日常垢)はこちら
→https://twitter.com/sakurada_07
■桜田さんの書籍『桜田の××レポ』はこちら(※性的な表現があります)
→https://www.amazon.co.jp/dp/4865377166