メタボも気にならない「ハイスペック牛丼」誕生なるか 吉野家と食物繊維の研究で蓄積ある医大がタッグ

京都新聞社 京都新聞社

 メタボ気にせず牛丼を―。京都府立医科大(京都市上京区)と牛丼チェーンを展開する「吉野家」(東京都)などは、生活習慣病の心配なく食べられる「高機能牛丼」の共同研究に乗り出す。府立医大はコレステロール低下や血糖値の上昇抑制の効果を持つ食物繊維の研究で蓄積があり、この食物繊維を添加した牛丼の効果を医学的に検証し、早ければ本年度後半の実用化を目指す。

 府立医大内分泌・代謝内科学の研究チームは約20年前から、天然の豆由来の食物繊維で発酵性が高い「グアーガム分解物」を研究している。この分解物が腸内環境を整え、全身の筋力が低下する「サルコペニア」や肥満を抑制する効果をマウスで確認。ヒトでも食後の血糖値上昇を抑える作用などを確かめている。

 一方、吉野家は特定保健用食品の販売など健康への配慮を打ち出した商品開発を進めており、今回、府立医大と機能性原料メーカー「太陽化学」と3者で産学連携の「食と健康研究講座」(4月から1年間)を設置した。

 グアーガム分解物は水溶性で弱い甘味はあるが渋みや苦み、香りはなく、本来の牛丼の風味を壊さずに具に配合できる可能性が高いという。今後、市民ボランティアを募り、グアーガム分解物を添加した牛丼を食べた後の整腸作用や食後の血糖値、血中中性脂肪の上昇抑制作用といった生理効果を確かめる。

 府立医大は「生活習慣病が気になる人でも、できるだけ食の制約を受けることなく幸福度を高められるよう、国民の『ソウルフード』とも言える牛丼をベースにグアーガム分解物の健康効果を検証したい」としている。

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