サーフィンの旅からヒント 初代機は2004年 最初の購入者は日本人 GoProヒストリーがアメリカンドリーム!

松田 義人 松田 義人

テレビやYouTubeの撮影現場でよく目にする小さなカメラ・GoPro。アクションカメラとしてよく知られる一方、その頑丈さ、機能性の高さから今では「動画撮影」に欠かすことができないアイテムとして、世界中で愛用される大ヒットガジェットです。

優れた機能性についてはよく知られる一方、そのストーリーについてはまだまだ知らない人が多そうです。今回は、ストーリーを紹介しながら、GoProの日本の担当者の話も合わせて紹介します。

主観でのサーフィン撮影を目指して

世界中の動画撮影シーンを席巻するGoProの歴史はまだ19年。その誕生は革命的でした。

GoProを創設したアメリカ人でカリフォリニア育ちのニック・ウッドマンは、それまでにゲームを活用したマーケティングプラットフォーム事業などを行っていたものの、ビジネスはうまくいかずに2001年に閉業。ただし、同時期よりニックは、自分自身はもちろん、友人の「サーフィンの様子を撮影するための製品」の開発の構想を思い描いていました。

ニックはオーストラリアやインドネシアを長期間かけてサーフィンの旅に出かけます。この旅でニックが確信したことは、「自分自身や友人がサーフィンをしている様子を撮影するアイテムには絶対にニーズがある」ということでした。

それまで「サーフィンの様子を撮影する」場合、浜辺から誰かに撮ってもらうしか方法がありませんでした。しかし、「友人のライディングや、海から見える美しい景色を自分の目で見て記憶するだけでなく、その場にいなかった人にも共有できるソリューションがあったら絶対にニーズがある」と、帰国後、開発に没頭しました。

一番最初のGoProの顧客は日本人だった

ニックは後に結婚するパートナー・ジルと一緒に、開発や会社立ち上げのために、貝殻のネックレスやベルトを、自慢の旧車・フォルクスワーゲンのバスに乗りカリフォルニアで売り歩きました。

腕にリストバンドで固定する、35mmフイルムタイプの初代GoProが2004年誕生。このモデルは、同じくフォルクスワーゲンのバスで、サンフランシスコやサンディエゴまで駆け巡り様々な展示会に出展。サンディエゴの展示会では初めての売り上げがありました。初めてGoProを購入したのは日本人でした。

進化し続けた防水機能・手ブレ補正

以来、改良を重ねたモデルを次々に発表していくGoProですが、当初の「サーフィン」をはじめとしたウォーターアクティビティはもちろん、スキー、自転車、バイクなど様々なシーンでの使用を想定して開発し、当初より「防水性能」の徹底を意識していました。ただし、初代GoProから4代目モデルのHERO4までは透明のハウジングケースに入れることでの防水性能でした。

2016年の5代目モデルのHERO5以降、ハウジングケースが無くても10mまでの防水性能を誇るように進化させ、さらに翌年2017年には空撮可能なKarmaというドローンを発売し、GoProブランドは注目を浴びるとともに、それまでの動画撮影現場に大きな革命を起こします。

2018年には、GoPro 史上初となる360度カメラ「Fusion」を発表。5K、手ブレ補正、防水、というGoProの技術をまとめたカメラが誕生しました。

同時に、テレビやYouTubeなどで動画を楽しむ視聴者は、それまでには体験したことがなかった多面的な「絵」を楽しめることとなり、ニックが当初描いた構想は「サーフィン」をはじめとしたウォーターアクティビティなどをはるかに超え、多くの動画撮影現場および視聴者に感動を与えることにもなりました。

GoProは日進月歩で進化し続ける

現在のモデルは11代目となるHERO11 というもの。7代目モデルから評価が高かった手ブレ補正機能がアップグレードされたことに加え、水平ロック機能も搭載。たとえば悪路などの撮影で、カメラ自体が揺れたり回転しても「映像は水平を保つ」ということまで実現させました。

このほかにも長時間駆動や寒冷地での撮影にも強い「Enduroバッテリー」を搭載させるなど様々な点が進化を遂げる一方、よりコンパクトでアクションシーンでの撮影ニーズに呼応し、ヘルメット、体、自動車やバイクの車体のマウント撮影に適した小型モデルのHERO11 Black miniもラインナップに加わりました。

GoProがあらゆる動画撮影の現場とそれを見て楽しむ人たちに与えた影響はあまりに大きいわけですが、それだけにとどまらずスマートフォンアプリ、Quickとの連動による撮影動画の編集機能にも及び、その利便性は今後もアップデートされていくことでしょう。

「GoProだからこそ撮れる瞬間を記録する」が価値

さらに近年GoProでは「未来のアスリートの卵を見つける」グローバルアワード「Grom Quest」を実施。スポーツや撮影が好きな13歳以上〜18歳未満を対象にした動画コンテストで、応募者は、自身を主役にした動画をGoProで撮影して応募。入選するとGoPro公式インフルエンサー「GoProアスリート」として活躍できるというもの。結果的にアスリート育成を促す取り組みも実施し始めました。

アメリカ人青年・ニックの発想からわずか20年前後で、進化を続け世界中を席巻させる一大ガジェットへと成長したGoPro。GoProの日本の担当者によると、「ユーザーが自身の趣味や熱中するアクティビティを楽しむ姿を記録し、シェアすることを可能にするためのソリューション」は当初のニックのコンセプトから変わらないと言います。言い換えれば、ブランドコンセプトは、そのカメラ機能と同様、「ずっとブレがない」と言えなくもないでしょう。

最後にGoProの日本法人の担当者に聞きました。

「GoProは常に、ユーザーが自身の趣味や熱中するアクティビティを楽しむ姿を記録し、シェアすることを可能にするためのソリューションを提供しています。他方で、GoProはアクションスポーツをする人だけのもの、GoProは使いこなすのが難しいというイメージをお持ちの方も多いかと思います。

ですが、GoProを使う価値は、『GoProだからこそ撮れる瞬間を記録する』というところです。体やギアに取り付けて撮影するからこそ、アクティビティに集中することができ、その自然な表情を記録することができ、それを簡単に共有できることがメリットです。

アクションスポーツ以外でも、旅行やVlog、若い層からファミリーまで幅広いシーンで活用されています。是非GoProを手に取って、GoProの世界へ飛び込んでみてください」(担当者)

新型コロナウイルス関連の規制も少しずつ緩和されつつある今、旅行や外食時の動画撮影などのシーンでもさらにその利用価値の高まりが予想されるGoPro。ぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。

▽GoPro・公式サイト
https://gopro.com/ja/jp

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