「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者が約4割 「やりたい仕事に就くことを諦めた」人は約3割に

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

「職場で生きづらさを感じる」LGBTQ+当事者が約4割で、非当事者の約1.5倍に――そんな調査結果が、Indeed Japan株式会社(東京都港区)の「LGBTQ+当事者の仕事や職場に関する意識調査」で分かりました。また、LGBTQ+当事者の3割以上が「当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答したそうです。

調査は全国の20~50代3万643人(うちLGBTQ+当事者1000人)を対象として、2023年3月にインターネットで実施されました。

まず、「現在または直近の職場」について聞いたところ、LGBTQ+当事者の39.1%が「職場で生きづらさを感じる」と回答し、非当事者(シスジェンダーかつヘテロセクシュアル)の26.8%と比較すると約1.5倍という結果になりました。

また、LGBTQ+当事者の33.5%が「仕事探しや職場において、不安やストレス、嫌な思いを経験したことがある」と回答。

しかし、不安やストレス、嫌な思いを経験したことがあるLGBTQ+当事者の35.5%が「誰にも言わず/何もしなかった(自分の心のなかにとどめた)」と回答しています。その一方で、21.5%の人が「転職/退職(転職活動の開始を含む)」を選択した経験があることも分かりました。

回答者からは、「面接でカミングアウトしたところはすべて不採用。カミングアウトしなかったところはすぐに採用された」「『店員さん』や『〇〇さん』と呼ばず、『お姉さん』と声をかけられたのが思いのほか苦しかった」といった声が寄せられています。

続いて、「現在の職場において、同僚や上司に対してカミングアウトしていますか」と聞いたところ、75.8%の人が「カミングアウトをしていない」と回答しています。

同社は、「企業(職場)からは、LGBTQ+当事者の存在が『見えづらい』状況が考えられます。そのため、企業(職場)においてLGBTQ+当事者がいる前提での環境づくりやコミュニケーションが進みにくいことで、LGBTQ+当事者が職場で感じる不安や生きづらさにつながっているという可能性も考えられます」と分析しています。

次に、「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めたことがありますか」と聞いたところ、31.5%の人が「やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と回答。また、「やりたい仕事を続けることを諦めたことがある」と答えた人は24.4%でした。

「やりたい仕事に就くことを諦めたことがある」と答えた315人に対して、「仕事探しを諦めたのはどの段階でしたか」と聞いたところ、78.1%が「仕事に応募する前」に諦めていることが明らかになりました。

さらに、「LGBTQ+当事者であることで、やりたい仕事に就くことを諦めた理由」を教えてもらったところ、「男性らしさ・女性らしさの決め付けなど、多様な性のあり方について理解のない発言をされた」(17.1%)、「求人を調べているとき、採用企業にLGBTQ+に対する制度があるかわからなかった」「勤務中の髪型、化粧、服装(制服着用など)などの要件が希望と合わなかった」(いずれも13.1%)などが挙げられています。

また、「やりたい仕事を続けることを諦めた理由」については、「見た目の性別決めつけた発言や扱いをされた」(15.7%)、「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいた」(14.2%)、「LGBTQ+当事者の社員/事例がなく、制度や環境について会社に希望・意見を伝えづらい」(13.1%)などが挙げられました。

最後に、「やりたい仕事に就く・やりたい仕事を辞めずに続けられるようにするために企業や職場に求めること」を聞いたところ、「差別的な発言・行動をする上司・同僚がいない」(24.7%)、「カミングアウトしない人も、職場の居心地がよい」(23.8%)、「カミングアウトしない人も、職場での人間関係を深められる」(20.1%)などが上位に挙がりました。

また、「違和感や生きづらさを感じず安心して働くために企業や職場に求めること」については、「誰もが自由な服装や髪型・言葉遣いなど、特定のジェンダー観に縛られずに働ける職場」(21.1%)、「カミングアウトしなくても不利がないような制度や従業員の意識がある職場」(19.9%)、「自分を理解してくれ、今後の仕事・キャリアの相談に乗ってくれる人(LGBTQ+かを問わず)がいる職場」(15.4%)といった回答が挙げられました。

回答者からは、「社会貢献として、勤務している社員やその家族、取引先の関係者が勤務時間外であっても、多様性における配慮に欠けた言動をしないように、定期的に社内外で講習などを行なってほしい」「会社を挙げてSNSなど一般の人からも目につくところでLGBTQ+コミュニティを支援していることを発信してほしい」「LGBTQ+の人たちが世の中に沢山いること自体が当たり前の事だと、全ての人が思える社会づくり」などの声が寄せられたそうです。

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