京都市内の小学校給食が急激な物価上昇でピンチに陥っている。食材の確保が難しく、児童に人気のデザートがなくなり、親子丼の具材から卵が消えた。京都市教育委員会は緊急の予算措置を講じるなど影響を最小限にとどめようとするが、保護者からは「子どもの栄養バランスは大丈夫か」と心配の声も上がる。
市教委によると、物価高の影響は昨年1月ごろに現れ始めた。ロシアによるウクライナ侵攻や円安に伴って肉や魚、野菜が軒並み値上がりした。中には仕入れ価格が3倍に跳ね上がるものもあったという。
市内の小学校給食の食材費は各家庭からの給食費で賄われる。1食当たり262円が基本で、これをベースに栄養教諭らが半年ほど前からメニューの原案を考える。
物価の急騰が予算オーバーを招くのは当然で、市教委は昨年1月~3月、全小学校でデザートの桜もちやチーズの提供をやめたほか、牛肉を鶏肉に変更するなどして食材費を圧縮した。
6月には国の交付金制度を活用し、中学校や総合支援学校を含む食材費1億5千万円を確保。異常事態はこれで解消されるかとみられた。
ところが今度は鳥インフルエンザが流行し、鶏卵の値上がりと品薄が急拡大した。予定量の卵を調達できなくなり、今年3月には一部の小学校で親子丼やちらしずしの具材から卵をなくすなど異例の対応を迫られることになった。
各小は「やむを得ない措置」とする文書を保護者宛てに配布。ただ、今後の物価状況に不安を感じる保護者は少なくなく、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」にも「お知らせを読むと給食に従事する人の苦労が伝わってきたが、このままでは適切な栄養バランスが損なわれる」といった投稿が寄せられた。
4月以降の給食はどうなるのか。市教委は現時点で給食費値上げを考えていないといい、本年度一般会計当初予算に物価高に伴う食材費として1億円を盛り込んだ。
給食を担当する体育健康教育室は「児童に我慢を強いる場面もあり、心苦しく思う。4月以降の情勢については見通せないこともあるが、影響を最小限にとどめるために調整を続けたい」としている。