4月に発足した「こども家庭庁」について、同庁を「知っている」と答えた保護者の割合が約3割にとどまっていることが、民間会社の調査で分かった。同月に施行された「こども基本法」を知っている人は1割未満とさらに低迷。同社は「認知度が低い。当事者が子育て政策を把握できる仕組みの整備が望ましい」と指摘している。
こども家庭庁は、少子化対策や子育て世帯支援、児童虐待や貧困など子どもに関する政策を総合的に担う。首相の直属機関として内閣府の外局に設置、国の新たな省庁は2021年のデジタル庁以来となる。
また、こども基本法は「全ての子どもは個人として尊重される」といった基本理念を掲げ、子ども関連施策を総合的に進めることを目的に、議員立法で昨年6月に成立した。
今回の調査は、子育て支援事業を手がける企業「BABY JOB」(大阪市)が3月19日~4月3日、全国の子育て中の保護者1179人を対象にネットで行った。
「こども家庭庁が発足されることを知っていたか」との問いに対し、「知っている」と回答したのは31・1%にとどまり、「聞いたことがある」が32・7%、「知らない」は35・4%だった。
こども基本法の施行については「知っている」がわずか8・1%。「聞いたことがある」は25・8%、「知らない」が64・6%に上った。
一方、こども家庭庁に対して期待していることでは、「保護者目線に立った子育て支援」との回答が68・0%と最多で、2位は「子ども目線に立った子育て支援」の55・1%。「子どもの健康や幸せを守る環境づくり」「子どもの年齢や家庭に合わせた切れ目のない支援」などが続いた。
具体的な意見や要望として、「子育て世帯の意見がしっかりと政策に反映されること。選挙では高齢者の数に勝てないので少数の意見でもくみ取られることに期待」「経済的支援の所得制限撤廃」「3歳までの保育料の補助充実、小学生低学年の学童無料化」といった声が寄せられた。
調査結果はこども家庭庁に提出する予定。同社の担当者は「政府が子育て世帯に向けた政策を推進する中、それが十分に活用されていなければ意味がない。今後はSNS(交流サイト)などを活用し、日々疲弊している当事者が頑張って情報を取りに行かなくても、子育て政策を知れる仕組みを整備していくことが望ましい」としている。