スマホやテレビを見せて育てると親の声掛けに反応せず宿題をしない子どもに、スマホやテレビを見せずに育てるとお手伝いをする子にー。福島県白河市が作成した子育て支援ポスターに対して、SNSで「こんなポスター作っておいて女性医療支援て」「絵柄やフォントだけ令和に寄せても、中身が昭和じゃ意味ない」などと疑問や批判の声が相次ぎました。(記事→スマホやテレビばっかり見せると、子どもの将来にこんな差が? 根拠のない自治体ポスターに憤り )
まいどなニュース編集部は1月10日、白河市こども支援課に(1)デジタル端末を見せて育った子は将来宿題をしなくなる、見せなかった子は親のお手伝いをすると描いた根拠(2)ポスターの中に男性が描かれていない理由(3)啓発素材としてこのポスターが「適切」と考えるかーの3点について質問し、1月20日メールで返答がありました。
編集部:デジタル端末を見せて育った子は将来親の言うことを聞かず、デジタル端末を見せなかった子は親のお手伝いをするという風に描かれていますが、この根拠を教えてください。福島県立医科大と協力とございますが、そうした医学的な論文が存在するのですか。
白河市「当市では、乳幼児健診時の親子の様子や発達状況を福島県立医科大学教授に実際に見ていただくことで課題を認識し、日本小児科医会及び日本小児科学会による子どもとメディアの問題に関する提言に沿った同大学による指導のもと、子育てにおいてメディアに過度に依存することなく、あやしたり語りかけたり、親子一緒に体を使って遊んで触れ合うことで愛着を育むことに、市として取り組んでいるところです。なお、同大学よりアメリカ小児科学会の声明を提供いただきましたので添付いたします」
編集部:ポスターでは、子育てをする女性が描かれていますが、男性が描かれていない理由を教えてください。
白河市「パンフレットとして母子手帳交付時の面談の際、妊婦に手渡すことを想定しておりできるだけわかりやすく表現しようとしたもので、性別役割分担を推進するものではありません」
編集部:自治体の名前が入った啓発として、このポスターの内容は「適切」とお考えでしょうか。
白河市「メディアが子どもに与える影響については、様々な調査研究がなされており、その中のひとつとして前述の提言が出されております。赤ちゃんは、周りの人との共通体験ややりとりから言葉を学んだり、人を信じる能力を学んだりしています。そのような機会がメディアの接触により減少してしまうことがないよう、ポスターを通して普及啓発を進めていたところです。決して性別役割分担を推進したり子育ての良し悪しをジャッジしたりするものではありません。この度、様々なご意見をいただき、このポスターにより不快な思いをされた方がいらっしゃることを真摯に受け止め、いただいたご意見を今後の愛着形成の普及啓発に役立てていきたいと存じます」
「子どもとメディア」の問題に対する提言( 日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会2004年2月6日)は、「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える」「授乳中・食事中のテレビ・ビデオの視聴は止める」「すべてのメディアへ接触する時間は1日2時間まで」などの具体的提言がありますが、子どもの具体的な未来像や使用の有無で差が生じることについては言及していません。またアメリカ小児科学会の声明を機械翻訳した範囲では、声明内にはメディア視聴が未来の具体的な行動につながることを示す記述は見当たりませんでした。
まいどなニュース編集部は、白河市こども支援課に(1)デジタル視聴が未来の具体的な行動につながるものとして描いたことへの市の見解(2)ポスター内でマルと三角を使って子育てを評していることへの市の見解ーの2点について質問しています。返答があり次第掲載します。