「無意識によだれが…」美容ハイフによる顔面麻痺や視力障害相次ぐ、消費者庁が注意呼びかけ

小森 有喜 小森 有喜

エステサロンなどで施術し、シワやたるみの引き締めに効果があるとされる「HIFU(ハイフ)」。ハイフによる顔面の神経麻痺や視力障害といった事故が相次いでいることを受け、消費者庁の消費者安全調査委員会は29日、調査報告書を公表した。施術者を医師らに限定し、医療機器とみなして流通を規制できるよう求める意見書を厚生労働省などに提出した。

医療資格がない人による施術も

ハイフは高密度の超音波を顔などに照射する施術方法。人体の表面を傷つけずに皮膚の下の組織に直接影響を与えるもので、引き締めや痩身の効果をもたらすとされる。もともと前立腺がんの治療用に開発された技術だが、美容用にも応用されるようになった。

2015年に初めて事故が報告され、昨年までに135件発生。直近の2年間で74件と急増している。特にエステサロンでの事故が増えており、17年には国民生活センターが注意を呼び掛けた。エステ業界の主要団体は施術を禁止したが、団体に加盟しているエステサロンはわずか1割程度(事故調の調査による)。未加盟のエステのうち約2割がハイフを続け、医療資格がないエステティシャンらが施術しているとみられる。

よだれが垂れる、紅斑が残った…

報告されている中には、痺れで下を向くと無意識によだれが垂れる▷鏡を見たら上唇と口角がだらりと伸び切った感じで麻痺していた▷フェイスラインがやけど跡のような細かいシワのたるみになった▷水ぶくれが潰れた後皮膚が陥没して紅斑になり色素沈着して跡が残っている▷目の中心部がかすんで白くぼやけた(急性白内障)ーといった事例がある。

施術場所はエステサロンが71%、美容クリニックが23%だった。報告書では、エステサロンなどで使用されている機器について「超音波の照射状況だけでなく機器の故障も施術者が把握できていないものがあった」と指摘。知識が不十分なまま、安全性の低い機器を使うことが被害の要因とし、エステティシャンの施術は医師法に抵触するおそれがあるとしている。再発防止策として、医療行為として施術者を限定することや、機器の流通監視を強化することなどを挙げた。

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