2023年4月1日より、全年齢で自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されます。そこで、週に1回以上自転車(他人と自転車を共有するサービスを含む)を利用する全国の15~69歳の男女1299人を対象に「自転車用ヘルメット着用」に関する実態調査を実施したところ、約7割の人が「ヘルメット着用努力義務化を知っている」と回答しました。その一方で、「毎回着用している」と答えた人は約2割に留まっていたことが分かりました。
シナネンホールディングス株式会社と、同社の子会社であるシナネンサイクル株式会社およびシナネンモビリティPLUS株式会社(いずれも東京都港区)が、2023年2月にインターネットで実施した調査です。
まず、2023年4月1日からの「ヘルメット着用努力義務化についての認知度」については、67.9%の人が「知っている」と回答。年代別にみても、全年代で認知率は高く、特に「20代」(80.5%)では8割を超える結果となり、関心度の高さがうかがえます。
次に、「自転車乗車中のヒヤリ・ハット経験」を教えてもらったところ、「交差点を走行している時」(57.0%)が最多に。また、「ヒヤリ・ハット経験後の行動変化」については、53.0%の人が「スピードを抑えるようになった」と答えた一方で、「ヘルメットを着用するようになった」と答えた人は21.1%と2割に留まっています。
続いて、「自転車用ヘルメットの着用状況」について調査をしたところ、78.8%の人が「着用していない」と回答し、「毎回着用している」と答えた人は21.2%に留まりました。
また、自転車利用頻度別に着用率を比較したところ、「ほぼ毎日自転車を利用する人」の着用率は27.7%、「週の半分以上は自転車を利用する人」は24.6%、「週に1、2回程度自転車を利用する人」では11.8%と、自転車利用頻度の高い人ほど着用率は高い傾向が見られます。
自転車用ヘルメットを所有していたのは38.0%でした。しかしヘルメットの所有者のうち44.6%は毎回着用しておらず(着用していない14.6%・たまに着用している30.0%)、ヘルメット所有率・着用率のさらなる向上に向けて、課題が浮き彫りになりました。
「ヘルメット着用者を増やすために必要だと思う取り組み」を聞いたところ、「持ち運びやすいヘルメットの開発」(47.3%)、「ヘルメット着用の重要性に関する報道の増加」(32.8%)、「ヘルメット購入に対する補助制度」(29.4%)などが上位に挙げられ、製品面、情報面、制度面といった多方面からの取り組みの強化が、ヘルメットの着用率を向上させるために必要であることがうかがえました。
また、「自身がヘルメットを使用する場合に重視するポイント」を教えてもらったところ、「軽量性」(51.8%)、「安全基準を満たしている」(49.5%)、「自分専用であること」(40.3%)といった回答が上位に並びました。
なお、自転車を他の人と共有するサービスも利用する人(345人)でも、「自分専用であること」(48.7%)が2番目に多かったほか、「抗菌仕様」(31.9%)という回答もあり、安全性の観点に加え、衛生面からもヘルメットは自分専用品を使用したい意向が見受けられたといいます。
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自転車用ヘルメット着用に関する有効性について、関西大学社会安全学部の伊藤大輔教授は、「警察庁が発表している交通事故統計によると、自転車乗車中の交通死亡事故において、最も損傷する頻度が高い部位は頭部です。一方、2022年の警察庁の調査から、ヘルメットを着用していることで、事故時の致死率を37%低減することが出来ると見積られており、ヘルメットの装着は頭部を保護するうえでとても有効です」と述べています。