鼻の中にできる「鼻腔がん」になった女性が体験を描いたコミックエッセイが16日、KADOKAWAから出版されました。全体の割合から見ると事例の少ないがんではあるものの、放っておくと口が開けづらくなったり、眼球が飛び出してきたりするリスクもあります。
著者は、SNSなどで漫画やイラストを発信するやよいかめさん。鼻づまりが長引いている時期がありましたが、症状が軽いからといつも通り家事や子育てをしていたそうです。しかし、だんだんと寝つけなくなるほどに。蒸しタオルで鼻を温めたり、枕を高くしたりしましたが効果がなく、次第に鼻水やたんに血が混じるようになってきました。精密検査を受けたところ、がんと宣告されました。
新刊「鼻腔ガンになった話」では、闘病生活を共にしていく一家の姿が描かれています。抗がん剤の副作用や、同じ不安を抱える入院患者たちとの交流、治療方法の選択、家族との触れ合いなどを伝えます。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、2018年に「鼻腔および中耳」のがんと診断された患者は778人、鼻腔とつながっており顔の骨の中にある空洞「副鼻腔」のがんは1193人でした。症状として、鼻づまりや鼻血、頬のしびれ、片側だけ涙が出る―などが挙げられるといいます。これが数週間にわたって「片側だけ」に続く場合は、特に注意が必要。進行すると、眼球が飛び出す、歯のぐらつき、口蓋や頬の腫れ―といった症状が出てきます。
炎症を繰り返すことで細胞ががん化するというケースがあるといい、やよいさんも入院中、他の患者と「もうちょっと早く病院に行っておけばよかった」と話し合っていたといいます。やよいさんは「抗がん剤の副作用も昔に比べたら軽くなっていますし、内視鏡手術や陽子線治療などいろんな技術がどんどん一般化されています。むやみにがんを恐れず、気がかりなことがあったらすぐ病院に行っていただければと思います」としています。