自主制作の短編アニメを公開し、高い評価を得ている安田現象さん（@gensho_yasuda）。作中では魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、その中で日本人形と西洋人形の女の子を描いた「呪いの人形シリーズ」は、人気作品のひとつです。
今回、安田現象さんは、西洋人形ちゃんにフォーカスを当てたまとめ動画を公開。これまでスポットで公開されてきた作品を、一気に見ることができます。
「呪い」という縁で引き寄せられ、ひとつ屋根の下で暮らすことになった日本人形ちゃんと西洋人形ちゃん。
節分とバレンタイン――。
クリスマスにお正月――。
「和」と「洋」の文化や嗜好の違いもあり、はじめは喧嘩し合ったり、いがみあったりしていましたが、次第に仲良くなっていきました。
しかし、そんなある日、彼女の呪いは解けてしまいます。動かなくなった西洋人形ちゃんに駆け寄る日本人形の楓ちゃんは、悲しげでありつつもどこか安堵したような表情を浮かべながら、ひとこと、彼女に言葉を送るのでした。
可愛くて微笑ましく、それでいてラストはちょっぴり悲しい作品。
「幸せになるととける呪い…？」
「仲良くなったのに最後は…」
「最後の呪いの解けるところ、切ないっす。よろこばしいことなのに」
「楽しき日常を知り成仏したのかな？」
「５歳の息子が『何で？何で？』と何回も観せてと言って『何で呪いは解けちゃったの？悲しいね』と言ってました」
「これからも大切に大切に何度も観たいと思います」
「喜怒哀楽動画を制作できる安田現象さん神様です」
リプ欄には、作品についての感想や、作者である安田現象さんを絶賛する声など、実に多くの反響があり、中には海外からのコメントもありました。
また、ラストのシーンで日本人形の楓ちゃんが何と言っているのか予想する人も。安田現象さんは「見た人のご想像にお任せします！」と話します。
作品の謎・秘密について、作者に聞いた！
安田現象さんの「呪いの人形シリーズ」。
可愛い二人の人形の姿を見ているだけで癒されますが、やはり二人のことを好きになればなるほど、「西洋人形ちゃんは結局何者なの？」「呪いの正体って？」「西洋人形ちゃんはどうなったの？これからどうなるの？」など、さまざまな疑問をもつ方も多いのではないでしょうか。
そこで作者である安田現象さんに、作品や西洋人形ちゃんにまつわる裏設定や秘密について、質問をぶつけてみました。
――「呪いの人形シリーズ」では日本人形ちゃんと西洋人形ちゃんを中心に物語が展開していますね。西洋人形ちゃんのキャラとしての設定、作品上での立ち位置などについて教えてください。
安田現象さん：西洋人形ちゃんは楓ちゃん（日本人形）とは違った形で呪いにかかり、孤独に永遠を生きる人形です。作中の家にたどり着いて初めて楓ちゃんという自分と同じような存在と出会いました。
――作中のキーワードである「呪い」ですが、その正体はいったい何なのでしょう？
安田現象さん：呪いはそれを定義した人による主観的なものです。人形が動くことにネガティブな感情を持てばネガティブな存在として扱われ、ポジティブな感情を持てば奇跡として扱われる。誰がどう受け取るかで意味合いが大きく変わるものだと思っています。人が定義しなければそもそも人ならざる者は存在すらしないと考えて、自分の作品は構築しています。なので彼女たちの存在自体が、画面外の誰かを象徴しているように思っています。
――西洋人形ちゃんの呪いはなぜ解けたのですか？
安田現象さん：西洋人形ちゃんは孤独ではなくなり、その幸福に彼女が気づいたことで呪いから解放され、彼女の物語が終わりました。幸福になれば解ける呪いにかかっているということは、呪いをかけた存在は彼女が幸福ではないと思い込んでいることが嫌だったのかもしれませんし、あるいは彼女を通して自分のことをそのように思っていたのかもしれません。
――今後、西洋人形ちゃんが再び登場する可能性は？あるいは新キャラを出す予定などは？
安田現象さん：西洋人形ちゃんの身体はもちろん残っているので、楓ちゃんの物語の中で身体だけ登場することはあるかもしれません。キャラクターとしての彼女の再登場はようやく手に入れた彼女の願いを否定してしまうことになるので、今のところはないつもりです。新キャラは今後も続々と出していきます。ちょうど今も取り掛かっている最中です！
なお、日本人形には、「楓」という名前がありますが、西洋人形ちゃんには名前はあるのでしょうか？
安田現象さんは、今回のまとめ動画を公開した後日、Twitterにて西洋人形ちゃんのイメージ画も公開。「カトリーヌ」という名前であることがここで明かされました。
◇ ◇
安田現象さんの「呪いの人形」のエピソードは、以前にもまいどなニュースで紹介させていただきました。
その時のインタビューでもお話しいただいたのですが、安田現象さんは短編アニメだけでなく、現在長編アニメの公開も目指して活動されています。
「長編を作るためにスタジオを立ち上げたのが１年９カ月前になります（２０２３年３月現在）。はじめての長編制作はわからないことだらけで、少人数で長編を作るためのワークフローの開拓を始め、長編としての脚本やコンテの作り方など、すべての場所でつまずきながらここまで来ました」
このように、制作の苦労を語る安田現象さん。しかし、それでもアニメーションの進捗が９０％を超え、全体の進捗も６０％と、今のところ制作は順調に進んでいるそうで、「アニメを作る」喜びと楽しみを感じながら、制作を行っているとのことです。
「多分完成するその瞬間まで翻弄され続けると思いますが、後々振り返っていい時間だったと言えるようにしっかりやれるだけのことをやろうと思います」（安田現象さん）
安田現象さんの長編アニメは２０２４年、劇場で公開予定。
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