成猫に噛まれて血まみれ!安楽死も提案された子猫が“驚きの回復” 子分を従えてお姫様なニャン生を謳歌中

古川 諭香 古川 諭香

クリっとした瞳が愛くるしい、ひめちゃんは元野良猫。成猫に噛まれて大怪我を負い、一時は安楽死を提案されるほどの容体だったが、飼い主びーさんの懸命なケアによって、小さな命は紡がれた。

成猫に噛まれた子猫に生きてほしくて

ひめちゃんは、当時働いていたお店の裏で出会った子。生後2カ月ほどのひめちゃんは成猫に噛まれたようで、血だらけの状態で倒れていた。

すぐに動物病院へ連れていき、レントゲン撮影。首を噛まれていたため、傷の深さや神経へのダメージを確認してもらった。

検査後、医師から「自力で頭をあげることができなければ、神経の損傷があるので安楽死も…」と告げられたが、飼い主さんは絶対に安楽死はさせないと心に誓い、ひめちゃんのケアに励もうと決意する。

ひめちゃんは動物病院で1週間、入院治療を受けることに。面会時、飼い主さんは自力で頭を持ち上げる姿を見て、目頭が熱くなった。

退院後、自宅ではクッションマットを敷いたり、障害物を撤去したりし、配慮。体に触れる頻度を多くし、刺激を与えもした。

「通院でのリハビリもしました。実は名前を命名してくれたのは、病院の先生。『お姫様のように至れり尽くせりだな』という理由からです(笑)」

こうした生活を半年間続けたところ、麻痺は残ったものの、ひめちゃんは一般的な猫とほぼ変わらない日常生活が送れるようになった。

「左手は麻痺があり、腕が後ろを向いていますが、肉球の感覚は多少あります。右手は手のひらの先端に麻痺があるものの、7割くらい可動します」

後ろ脚は5割くらいの可動。踏ん張ることができず、足が広がるため、普通に歩くことは難しいとひめちゃんは自分で判断し、うさぎのように跳ねて移動をするようになった。

「跳んで移動するので、同居猫の誰よりも早く移動できます。忍び足もできるんですよ(笑)」

ちなみに、ひめちゃんを保護した後、驚きの事実が判明した。それは、ひめちゃんを噛んだ成猫が顔見知りの猫だったことだ。

「先生から、噛んだ成猫の歯が1本なく3本だったため、奇跡的に急所が外れていたのだと言われていたのですが、後日、店の裏で以前から面倒をみていた猫の歯を見たら3本で!きっと縄張りに入られ、驚いて噛んだのかなと」

飼い主さんは犯ニャンと思われる成猫に、「お前が噛んだんだぞー(笑)」と伝えながら世話をし、最期までその命を見届けたという。

子分を従えてお姫様なニャン生を謳歌中

現在、飼い主さんが日常的に行っているのは、トイレの補助。排尿時には少し刺激を与え、排泄時には足を支える。

「膝丈くらいの高さはジャンプして登るので、降りる時には抱っこして降ろしています」

障害と世間一般で呼ばれるもの持っている猫には「可哀想」の視線が向けられることもあるが、飼い主さんは哀れみも特別感も全く感じていない。

「障害がある猫もない猫も、みんな同じでかわいい。ひめは他の猫より手はかかるけれど、ユニークな行動や不器用ながら甘えてくる姿が愛おしいです」

手足の代わりに口を器用に使って、おもちゃや同居猫とじゃれ合うひめちゃん。その姿に心打たれたのは、飼い主さんだけではなかったよう。なんと、ひめちゃんには頼れる子分ができたのだ。

「子分の役割は、ひめのトイレ後の砂隠し、ひめが届かないところの毛づくろい、添い寝です」

その名の通り、みんなから慕われ、愛されるお姫様のようなひめちゃん。そのニャン生には、この先も多くの幸が溢れることだろう。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース