「今年の京大入試タテカン達」
2月25日から27日にかけて、京都大学にて入学試験の二次試験(前期日程)が行われました(27日は医学部医学科の面接のみ)。
その時期にあわせ、在学生が多くの立て看板を制作、キャンパスや大学周辺に設置します。学内サークルである京大職員同好会(@kusyokuin)がその模様をTwitterに投稿し話題となりました。
アニメや有名人などを題材にした、クオリティの高い作品の数々
入試や新入生歓迎の時期の「タテカン(立て看板)」の設置は、京大では毎年恒例ともいえるイベント。
京大生による立て看板サークルなど、複数の団体が個性あふれるタテカンを制作し、受験生にエールを送っています。
『ワンピース』や『ぼっち・ざ・ろっく』といったアニメ作品。
アンミカさんや米津玄師さんなどの有名人。
その他にもスポーツなど、さまざまなネタを題材にした作品の数々が制作されました。
そのクオリティの高さに、リプ欄には多くの称賛の声が寄せられています。
「ガチおもろくてw」
「普通にお金出して買いたいくらいのクオリティや」
「その画力を見習いたい」
「京大ほんま楽しそう」
特に、『お兄ちゃんはおしまい!』というテレビアニメをモジった作品「受験生は!おしまい?」には、Twitter上でも「おにまい可愛すぎる」など絶賛の声が相次ぎました。
原作者のねことうふ氏も「タテカンになってる!」と反応。
ちなみに、京大職員同好会の会長によると、タテカンを見て笑顔になったり記念撮影をしたりする人も多く、「タテカンを見て緊張がほぐれた」という受験生からの声もあったとのこと。タテカンは当日の受験生の癒しや楽しみにもなっていたようです。
伝統のタテカン…でも市や大学側は撤去の方針
京大の伝統といわれてきたタテカン。
近年まで、学生たちが誰でも自由に制作し、設置することができていたといいます。学内には多くの立て看板サークルが存在し、京大以外の大学も制作に関わるなどして、サークル勧誘や演劇等の公演の案内、個人の主張などさまざまな目的のタテカンが立てられてきました。
しかし、2018年5月より、京都大学は「市の景観の保護を守る条例に反する」ことを理由に立て看板の設置を制限。基本的に大学が認めた一部の団体以外はタテカンを立てることはできなくなり、歩道沿いに立てられていたタテカンも撤去されることになってしまいました。
それなら許可を得ては――とも思えますが、京大職員同好会の会長によると、大学側にタテカンの許可を得るにはまず京大の公認団体(数年の活動実績が最低でも必要)でなくてはならず、設置場所もかなり限られてしまうため、在学生が今回のようなタテカンの設置を大学公認で行うのは、実質的に不可能であるとのこと。
大学側のこのような方針について、「表現の自由を侵害している」と反発する人も。タテカン文化を守ることを目的に、学生たちが有志の立て看板サークルを結成し、ゲリラ的にタテカンを設置するなどして、抗議を続けています。
京大の自由な校風の象徴でもあったタテカン。その伝統がなくなってしまうのは、確かに少し寂しい気もします。
しかし、その一方では、時代の移り変わりのなかSNSやウェブサイトでの告知や情報共有が当たり前にもなり、タテカンの意義や必要性を疑う声もあります。
タテカン設置に関する議論。それぞれの想いや意見が交錯し、なかなか難しい問題のようですね。
不満もあるけど興味も…同好会の職員に対する想い
タテカンについてTwitterで発信した京大職員同好会。
「京大の職員に興味を持った京大生たち」によって構成された団体だといいます。
同同好会会長は、「たまに職員の人とご飯に行ったりすることもある」と、職員との仲の良さをアピール。しかし、その一方で、今回のタテカンの件をはじめ、京大生への“弾圧”を現場で押し進めているのも職員だと話します。
では、そんな職員たちにどうして興味があるのでしょうか?
「一括りに考えられがちなのですが、職員もそれぞれで考えが違うわけです。学生の活動を規制したくない職員もいれば、強く学生たちを押さえつけようとする職員もいます。そこを面白いと感じてとある職員さんに話しかけてみた、というのが私が同好会を作るきっかけでした」(京大職員同好会・会長)
同好会発足の理由についてこのように話す会長。会長以外にも、そういう観点に興味がある学生は複数おり、現在は100名近い会員が所属しているとのことです。
学生として京大の自由な校風が続くことを願い、それを締め付けようとする職員側の方針に不満を抱きつつも、彼らに関心を持っているという京大職員同好会のメンバー。
そのような視点から学生生活を送っているため、その分いろいろな学内のネタを発掘できているとのことです。最近は、Twitterでそのような面白ネタを発信することが多くなっているといいます。
■京大職員同好会のTwitterはこちら→https://twitter.com/kusyokuin