阪神・岡田監督が「アレ」を8分間で15回連呼 気を許す京都の「メンバーズ80」とは 会長はノーベル賞の学者

京都新聞社 京都新聞社

 大雪が降った1月24日夜、阪神タイガースの岡田彰布監督(65)は京都市内のホテルで気の置けない仲間たちに囲まれていた。15年ぶりの阪神監督復帰で盛大に開かれた激励会。スピーチに立った監督は冗舌で、自身の口ぐせとして話題の「アレ(優勝)」を8分間のうちに15回連呼した。そのたびに宴席からは歓声がわき起こった。

 岡田氏は、いつもの飾らない口調で、京都に存在する後援会組織への感謝も忘れずに添えた。

 「この会は3年ぶりですかね、ね。ゴルフはやってたんですけど、本当に久しぶりにみなさんの顔を見れて。僕はあの~、2004年からということで、コロナもありましたけど、それ以外1回も途切れずにやってもらってるのは、『京都・岡田会』なんですね」

 岡田氏は大阪出身で、大学も早稲田大。京都にゆかりはない。阪神の監督だったのは2004年から5年間で、その後はオリックスの監督や野球解説者になった。「虎党」だけの集まりならいつ解散してもおかしくない。

 なのに、なぜずっと岡田氏を囲む会が京都で続いているのだろうか。秘密を解く鍵は、野球界、学術界の2人の“大御所”にある。

 時計の針を19年前に戻してみる。

 2004年1月24日、京料理の有名店「木乃婦」(京都市下京区)。「岡田新監督のブレーン的サポート会」の発足に向け、京都の各界から熱烈な阪神ファンを自負する発起人約30人が顔を並べた。会長に選ばれたのは、のちにノーベル生理学・医学賞を受賞する京都大の本庶佑特別教授(80)だった。

 岡田監督の背番号「80」にちなんで、80人限定の会にすることとし、「メンバーズ80・岡田会」と名前を付けた。メンバーには本庶特別教授をはじめ、伏見工業高ラグビー部元監督の山口良治さん、競馬の武豊騎手、政界からは阪神ファンで知られる国会議員の前原誠司氏や福山哲郎氏が名を連ねた。京都の経済人や文化人も数多くいた。

 「この会は吉田義男さんがいないと、できていないです」。設立した時から岡田会の事務局長を務める自営業の山田高士さん(69)=上京区=は、1985年に阪神を日本一に導いた名将の存在を挙げた。

 89歳で今も健在の吉田氏は京都市出身。山城高~立命館大と京都で球歴を歩み、阪神入団後は「牛若丸」と呼ばれた名内野手だ。阪神の監督を3度務め、85年の日本一のチームには3番バース、4番掛布雅之とクリーンナップを組んだ岡田氏がいた。この3人が甲子園でアーチをかけた「バックスクリーン3連発」は、球史に刻まれている。

 岡田氏のことを「苦楽を共にした間柄」と表現する吉田元監督。まな弟子ともいえる岡田氏が初めて阪神の監督になる時、高校、大学時代の後輩に「後援会を京都につくってやってくれ」と頼んだという。

 山田さんは「いろんな人とお付き合いすることが人間の幅を広げる。そういう考えが吉田さんにはありました」と証言する。

 05年に岡田阪神は、当時の中継ぎ、抑え投手の名前の頭文字を取って「JFK」と呼ばれた投手リレーを確立し、セ・リーグ制覇を果たす。京都でも岡田会主催の祝勝会が盛大に開かれた。

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