バイトテロで倒産したそば店は、200万円で和解 スシロー「ペロペロ」問題…時価総額168億円下落で、加害者の賠償責任は?【弁護士に聞いた】

山脇 未菜美 山脇 未菜美

回転すしチェーン「スシロー」で、高校生とされる客が醤油ボトルをなめるなどした迷惑行為。株価が急落し、1日で時価総額が168億円下落するなどの損害を被っている。ただ加害者は未成年。損害賠償はどれほど請求され、誰が責任を取るのだろうか。弁護士は「民法712条の定める責任能力がある場合は本人」と断言。請求額については、アルバイトのいたずらで閉店したそば店の民事裁判を例に挙げつつ「報道によれば、その時は和解金が200万円だった。一般的に株価や客の減少と、迷惑行為の因果関係を立証するのは難しい」とした。

被害を受けたのは、岐阜県のスシロー岐阜正木店。来店した客がレーンを流れる醬油さしや湯呑みをなめるほか、レーンを流れるすしに唾液を指で塗りたくる様子を撮影した動画がSNSで拡散されている。スシローは「刑事、民事の両面から厳正に対処する」と声明を発表している。

責任能力があるかどうかは12~13歳が分かれ目

東京などにオフィスを構えるAuthense (オーセンス)法律事務所の高橋麻理弁護士によると、スシローの案件は刑事事件として2つの罪に問われる可能性があるという。一つは、物が本来の効用を失った時に適用される器物損壊罪。もう一つは、悪質行為で業務を妨害する威力業務妨害罪の恐れがある。

未成年者に民事的な損害賠償義務が認められるかという点でポイントになるのは、責任能力。自分のしたことを理解できる能力がある場合は本人、ない場合には監修義務者に当たる親の責任になり得るという。「責任能力を備えているかどうかの境目は、過去の事例で12~13歳が多い」と高橋弁護士。今回は高校生による行為だとすれば、責任能力が本人になる可能性が高いとする。ただ事実上は、資力のない子どもに代わって親が負担することになることが多いという。

では、どれくらいの損害賠償が予想されるのだろう。飲食店での迷惑行為は多発しているが、裁判になった例はあまりないという。数少ない例として、2007年、多摩市のそば店でアルバイト4人が、店の洗浄機に体を入れるなど不適切な行為をし、閉店することになった例を紹介。店側は1385万円の賠償請求を求めたが、最終的に和解に終わったとし、高橋弁護士は「実際に被ったすべての被害の回復がなされることは難しいと思う」と話した。

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