絶対に笑ってはいけない法廷で何度も響く、女性用下着を指す言葉…弁護士が描く「法曹あるある」漫画が話題

竹内 章 竹内 章

職務上、法廷で「パンティ」を繰り返さずを得ない検察官、弁護士バッジに刻印された紛失のあかし、一度聞いたら忘れない裁判略語の覚え方…。弁護士目線で法曹あるあるを赤裸々に描いた、ツイッター投稿漫画に注目です。作者のたぬじろう(@B_Tanujiro)さんはガチの弁護士で、「弁護士を目指す人が増えたらいいなー」と仕事の隙間時間に創作に没頭しているそう。読めば法の専門家がちょっと身近になる(かも)。

5月25日、ツイッター上に現れた「弁護士のたぬじろう」さん。初回作によると、5年目で独立開業しましたが、弁護士になる前はあまりこの仕事へのイメージはなかったそうです。「独断と偏見で弁護士のリアルを描きます」と宣言以降、法廷のリアル、年収のリアル、残業代のリアル、業界用語のリアル、弁護士バッジのリアル、刑事弁護のリアルなど、実話に基づく話題作いや問題作を精力的に発表し、ファンを増やしています。 

「記事は絶対に匿名で」と取材に応じたたぬじろうさんは男性。20代後半で司法試験に合格し、街弁の事務所で経験を積み、30代で独立しました。で、なぜタヌキ?「弁護士って立派そうに見えるかもしれないけれど、実際はそうじゃないという意味を込めて、化けることができるタヌキをモチーフにしました。猫をかぶるという意味で猫モチーフも考えましたが、タヌキの方がしっくりきたので」とのこと。なお、事務所は政令指定都市にあり、事務所HPにはとてもタヌキには見えないさわやかな笑顔の本人画像がアップされています。

 多彩な小ネタをカバーする作品群はどれも秀逸ですが、くすっとさせられたのは法廷のリアル3。ある刑事事件の法廷で、検察官が表情を変えることなく「被告人はパンティを」と書面を読み上げます。「パンティが…」「パンティであるからして」と検察官の説明が続く中、たぬじろうさんが「下着じゃあかんのか!!」と胸の内でツッコミます。なお、引用ツイートでは、この件を解説するユーザーも複数おり、それによると、下着ではパンツかブラジャーかわからない、パンツではズボンのパンツか下着のパンツかわからない。ゆえにパンティなのだそうです。なるほど、理にかなっています。

 スーツの襟にきらりと光る弁護士バッジも漫画のネタです。新品時は金色ですがメッキがはがれると銀色、そして酸化に伴い黒色へと経年変化します。そのため、あえて金メッキを削ろうとする新人弁護士もいるそうです。またバッジを紛失すると、官報に弁護士名が掲載されてしまいます。さらに再発行されたバッジの裏には「再1」と刻印されます。たぬじろうさんがかつて仕えたボスは「再3」という豪傑。さ、3回もやっちまった人がいるのか…。

 たぬじろうさんに聞きました。

―漫画の制作は夜間ですか

「夜が多いですが、通常業務で集中力が切れた時に描いていたりもします。妻に「弁護士について意外だったこと」などを尋ね、描いています。僕自身はこの業界に染まっているので、妻の視点はとても新鮮です。共同作業といえるかもしれませんね」

―やはり法曹関係の漫画は好きですか。

「法曹関係の漫画はほとんど読んでいません。話題になった「イチケイのカラス」を読んだくらいです。 お気に入りは「鋼の錬金術師」です。本編も大好きなのですが、おまけの四コマが好きで、あんな風にクスッと笑えるものを目指したいなと思っています」

 ―「会心の作」を自身で挙げるとしたら

「残業代のリアル2です。弁護士は、多くの事務所が残業代が出ません。これは雇用契約ではなく、業務委託契約という体が取られているからです。でも実態が雇用契約とほぼ同じになっている事務所も多く、イソ弁(勤務弁護士)に残業代請求で訴えられたら負ける事務所も多いと思っています。法律の専門家が、自分のことはきちんとできていない(ことが多い)という意味で、この業界のリアルが伝えられたらいいなと思っています」

―なんと大胆な…。身バレしないのですか

「割と弁護士あるあるネタが多いので、簡単には身バレしないのではと思っています。ひっそりと続けていきたいですね」

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